研究テーマ

電気を使わない暮らし

東日本大震災を境に、自然エネルギーへの関心が高まり、さらには「エネルギーそのものを使わない暮らし」ということも言われています。では、どうしたらそんな暮らしができるのか──具体的なイメージは、なかなか湧かないものです。夏に限らず節電の求められるこれから、エネルギーとどうかかわっていくかについて考えてみましょう。

太陽光発電

再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度の後押しもあって、太陽光発電が注目を集めています。個人レベルでは、一日分の電力消費量をまかなおうとすると25㎡ぐらいの屋根面積が必要。初期費用も200万円ぐらいかかりそうですが、余剰電力を「売電」すれば15年ぐらいで回収できるといわれています。自宅で発電し、化石燃料による電力会社の電気を消費しないとすれば、たしかに自然エネルギーへのシフトとCO2削減に貢献することになるでしょう。
しかし、いま大事なことは、自然エネルギーへのシフトだけではなく、「なるべく電気を使わない暮らし」をどう実現していくかを考えること。50㎡ものソーラーパネルを置くのではなく、最小限の面積で初期費用も小さくするには、日常の電気の使い方を根本から見直す必要があるのです。
最近、各地で小さな太陽光パネルを自分でつくるというワークショップが行われています。5万円ぐらいのキットで小さな太陽光パネルを自作し、自家発電して楽しむ活動です。名前も、藤野電力、鎌倉電力など、それぞれの地域名が冠せられています。小さな太陽光パネルですから、家庭の全電力をまかなうにはもちろん足りません。しかし電気を大切にするという意識の変換には、大いに役に立つようです。

暮らし方を変える

  • 電気をできるだけ使わないで暮らす、そのためにできそうな工夫や知恵を考えてみましょう。
  • ○太陽熱でお湯をつくる…
    太陽のエネルギーで電気をつくり、そこからまた熱に戻すということはエネルギーを大きく損失します。お湯を沸かすのにもっとも効率がいいのは、太陽熱温水器。タライなどに水を張って直射日光で温める日向水(ひなたみず)のような昔からの知恵も活用できそうです
  • ○照明をLEDに変える…
    LEDの電力消費量は、通常の白熱電球の電気の約20%です。でも何より重要なのは、不要な電気をこまめに消すこと。たまにはキャンドルを灯すなどして暗さを楽しむのもいいでしょう
  • ○家族や友人で食事を共にする…
    電気を効率よく使うことができ、楽しい時間を共有することでコミュニティー形成のきっかけにも。集合住宅などでは、独り住まいの人のためにも食事を共にする仕組みが考えられるといいでしょう
  • ○洗濯はまとめてする。小さいものは手洗いする
  • ○保温調理で加熱時間を減らす
  • 夏には、冷房を使わずに過ごす工夫をしてみましょう。それには風の通り道を考えること、外の熱を家の中に入れないことが大切です。
  • ○庇(ひさし)を深くする…
    改築で庇をつけることもできますし、テントなどで後付けする方法もあります。もっと簡単に、タープのようなキャンプ用の布地などで日陰をつくるのもいいでしょう
  • ○木を植えて木陰をつくる…
    木陰によって地面の表面温度が下がり、輻射熱を抑えることができます。「打ち水」なども効果的。また見た目にも爽やかな緑のカーテンなどで直射日光を遮るのも有効です
  • ○扇子や団扇など、素朴な送風装置も見直してみたいものです

意識を変える仕組み

具体的な工夫以外に、意識を変える仕組みもあるといいでしょう。わかりやすいのは、使用電力が見えるようなメーターをつける方法。これには少し工事が必要ですが、分電盤から分岐する前につけることで、家全体でどのくらいの電気を消費しているかを計ることができます。またソーラーパネルを設置する場合は、電気会社に売電している状態などが一目でわかるスマートメーターというものもあります。こうした工事が大変であれば、電力会社の検診の記録をグラフ化し続けることだけでも、意識は随分と変わるものです。
さらに、ある一定以上の電気を使わないために、家の電気容量そのものを下げて強制的に流れないようにする「アンペアーダウン」という方法もあります。

「電気を使わない暮らし」には、他にもいろいろなアイデアがあることでしょう。みなさんのアイデアやご意見を、お聞かせください。

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