かつて農村では、自分たちが作った畑の大豆と小麦を原料に、家庭で醤油を作っていました。しかし、戦後になると、大手醤油メーカーがもろみに熱を加え、培養酵母を添加することで熟成期間を短縮し、大量生産・低価格販売を実現しました。
生産量だけみると、大手の醤油メーカーだけで、日本で使われるすべての醤油がまかなえるといいます。「そんななか、私たちみたいな小さな醤油蔵の存在意義は何かを考えながら醤油づくりをしています」専務取締役の浄慶拓志さんはそう話します。
浄慶さんいわく、醤油づくりにおける大豆の自給率は約6%、小麦の自給率は約9%。「自分たちが食べる分くらいは、自国でまかなっていきたい」外国産の原料を使用する蔵がほとんどのところ、大徳醤油では、国産原料の醤油づくりにこだわります。
もろみに熱や培養酵母を加えることなく、長い間蔵に住み着いた酵母の自然の働きによって、じっくりと発酵を促します。環境に適合した微生物が自分たちのリズムで代謝活動を行い、その結果としてつくる醤油こそが本物だと信じるからです。
また、地元・但馬の農家との出会いから、醤油と有機野菜のコラボレーションが実現。「野菜で野菜を食べる・ノンオイルでもおいしい」をコンセプトに、有機ノンオイルドレッシングを開発。但馬の風土に生かされ、地域と共に歩んでいることを実感しています。