自然を、自然のままに楽しむ。それが無印良品キャンプ場の原点です。自然の起伏を活かし、テントサイトに電源さえない私たちのキャンプ場は、おかげさまで年を経る毎にその豊かさを増しています。一方で、心配もあります。それは、キャンプ場と共にあるべき地域の未来です。
無印良品キャンプ場が開業した1995年、地域の森や川、農を知り尽くした匠たちと出逢うのは容易なことでした。私たちは、彼らから多くを学び、その知見は、キャンプ場の運営やアウトドア教室のメニューにも活かされています。しかし今、匠たちと出逢う機会はなかなかありません。無自覚のうちに自然との共生を成し遂げてきた彼らの技は廃れ、知見は継承されることなく途絶えつつあります。
時間を巻き戻すことはできません。でも立ち止まり、息づいているものを守る努力ならできるはずです。私たちはそこに挑もうと思います。たとえば、津南では米をはじめとする伝統的な「食づくり」を。乗鞍では地域の林業と手をつなぐ「森づくり」を。嬬恋では湖の命が循環する「水づくり」を通して。
私たちは、謂わば一本の木。思うように成長できないことも、挑戦が実を結ばないこともあるでしょう。それでも、木が無心に年輪を積み重ねて命を輝かせるように、飽きず、諦めず、続けます。いつか、もうひとまわり大きくなった自然の中で過ごす喜びをあなたと共有するために、地域に力強く根を張っていきます。