欲張りは向上心の源
ラーツーという言葉がある。バイク乗りにはとても馴染みのある言葉だと思う。かくいう私もバイク乗りでラーツー大好き人間のひとり。
ラーツーとは、ラーメンツーリングの略。ツーリングの道中や目的地でインスタントラーメンを食べることだ。持ち物はバーナーとクッカーとラーメンと水。少量の道具で非日常を楽しめる、ちょっとバイクで出かけたい時にぴったりな外あそび!
ある日、私のラーツーセットに「ソロストーブとマキネッタ」という新入りが入る。ソロストーブはその辺に落ちている小さな枝を使って火をおこせる直径10cm高さ15cmほどのコンパクトなネイチャーストーブ。その手軽さはバイクで使ってと言わんばかり。マキネッタは、夏の暑い日にバイクで滝まで行きそれを使ってアイスコーヒーを作って飲んでいる動画を見て、即買いしたコーヒーメーカー。それぞれ単品で楽しんでも良いのだが、私はあえてラーツーセットに組み込んでみた。なぜなら、全部一緒にやりたいから。
以来、すぐお湯が沸かせるバーナーでラーメンを食べ、焚火をしながらまったりコーヒータイムというスタイルが私のラーツーの基本スタイルとなった。好きなことがすべて詰まった欲張りセットの完成!(メインがラーメンなのか焚火なのか自分でもわからなくなっているのは内緒)
この欲張りはラーツーだけに留まらず、バイクでキャンプする際の〝積載〟にも影響している。キャンプの積載は足し算引き算を繰り返す。特に積載が限られるバイクはシビアで、車だと多用される「必殺・一応これも持っていっとくか」ができない。
でも私はやりたい!好きな道具は全部持っていきたい!
諦めの悪い私は考えた。持っていくのを諦めるのではなく、持っていけるように調整すればいいじゃないか!と。そこで道具の棚卸をした。譲れないものは何か。残りの余白で積めるものはどれか。いろいろ積みたいが見た目はスマートにしたい。用途が重複しているものがあれば本当に必要か自分に問う。そもそもバックに入れるという考えがだめだ。入らなくても挟めばいいし、ぶら下げればいい。
積載というパズルを試行錯誤していたら、いつの間にかそれを楽しんでいる自分に気づく。欲張りこそ向上心の源。目線を変えた先に、新しい自分らしさを見つけられるかもしれない。