みんなの外あそび | No.173
お腹のbabyと一緒だからわかること

海を感じる気持ち良さ

秋元香那/プロサーファー

「サーフィンは、人生で大切なことを教えてくれるもの」
と思いながらサーフィンを続けてきた20年。
そんな私がついに、マタニティサーフィンをする日が来るなんて。

今年に入り妊娠が発覚。40歳で高齢出産となることもあり、大事を取ってサーフィンスクールはすぐに休講し、自身のサーフィンもおあずけ。4ヶ月間かな。こんなにも長い間サーフィンをしなかったことはない。

ようやく安定期に入りちょうど気温も水温も高くなってきた頃で、待ちに待ったサーフィン再開の日。お天気にも恵まれ仲間達に見守られながら、いざロングボード片手に海に入った。海水はちょっとひんやりとして気持ちよく、お腹に衝撃や負担がないよう細心の注意を払って小さめの波を狙いパドリング。何本かトライし、やっと1本乗れた。

一言で言うと「私の居場所はココだ」という感覚。4ヶ月ぶりに自分がいるべき場所に帰ってきたような。
何より、お腹の中で元気に遊んでいるbabyと一緒にサーフィンをする事がとてもうれしく、この上ない幸せと感動で叫びたい気分になったほど。私自身が好きなことをして最高の気分になったり、リラックスして楽しめることは胎教にもすごくいいことなんじゃないかな。

サーフィンのスタイルも、今までは「上手くなりたい」と意気込んでいたのが、今は「babyと一緒にいかに楽しく気持ちよく波に乗るか」へと変化した。でも、気持ちよく乗れているということは、うまく乗れているということ。

なかなか波に乗れなくても、ただただ海の上で波待ちをしているだけでこんなにも気持ちがいい。たったの1本しか乗れないこともたびたび。しかしそのたった1本が気持ちよく乗れたらそれだけで十分。そんなふうに思った。サーファーはその1本を掴むために海へと出かけていくのかもしれない。

"自然の恵みである波"に乗るサーフィンから教わることは本当に多い。そんなサーフィンを、お腹にいるbabyと一緒にできるということに感謝。元気に育っていてくれてありがとう、そして海が好きな子に育ってくれたらうれしいな。

マタニティサーフィンは、私の人生観をまた大きく変えてくれた。

あきもとかな|1981年山形県生まれ。プロフェッショナルサーファー(旧姓・鈴木)。鵠沼海岸を拠点に、女性専用のサーフサロン「bloom surf salon」を営む傍ら、ウェットスーツブランド「elamica wetsuits」のデザインを手がけるなど、たくさんの女性にサーフィンを通じて人生を充実させてほしいという思いから、幅広く活動している。現在はマタニティサーフィンライフを楽しむ生活を送っている。Instagram: @horizon012

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