外で眠る
最近キャンプにいつ行きましたか?
誰と行って、何をしましたか?
キャンプに楽しくにぎやかな思い出はつきものです。
でも、たまには静かなキャンプもどうでしょう?
ただ緑の光のなかに身を置き、
暗くなったらたき火を見つめるだけ。
きらびやかな繁華街も笑い声が響き続ける
テレビもありません。
すると、都会暮らしでズレた体内時計が
ギギギと戻り、夜だから寝よう、と誘ってきます。
さあ、ぐっすりと眠りましょう。
それは、身体をととのえて眠るためのキャンプ。
都会で活動する3人の男たちが体験しました。
ぐっすりのための
穏やかな1泊
眠った人/上山浩征・伊藤祐輝・小林学
伊藤(読んだ人):おはよう! よく寝た~。朝まで爆睡。二人はどうだった?
上山(描いた人):寝袋に入ってすぐはあまりにも静かだったから、たまに聞こえる木の葉が揺れる音が気になっちゃって、寝付けなかったけど、気づいたらぐっすり。土の上で眠るのって気持ちがいいね。背中が伸びる感じがして。
小林(撮った人):僕もなかなか寝付けなかったけど、外の音が子守唄代わりみたいに心地よくなって、いつの間にか寝ちゃってたなぁ。あ、コーヒーでも淹れようか。
上山:いいね! 目が覚めた時からコーヒー飲みたいなぁって思ってた。
伊藤:昨日は、夕方6時に風呂に浸かって8時前にお腹も満たされてたじゃない? だからテントに戻った夜10時くらいには、もう相当眠くなってきてたんだよね。普段だとこんなに早い時間に眠くならないのに。
上山:確かに。お風呂入ったくらいから心も身体もまったりしてて〝眠る準備〟が始まってた感じだったなぁ。
何もない環境に身を置くことを楽しむ
伊藤:食事や風呂の時間がいつもより早めだったのもあるし、何より時間の流れ方が全然ちがったね。
小林:うん。ゆったりと時間が流れてる感じ。都内でスナップ散歩すると、とにかくおもしろい被写体を見つけたい一心で必死になっちゃって、休憩もそこそこにずっと歩き回ってるんだけど、昨日は、いつもよりぼけーっと遠くを見たり、立ち止まったりしてる時間が多かった気がする。実は、シャッターも普段より切らなかったんだよね。
伊藤:なるほどね。僕は買ったのにタイミングを逃して読んでなかった戯曲の本を持ってきたんだけど、自分の部屋で読むよりも、すっと物語に入り込めた気がするなぁ。
上山:その感じわかる。僕は、湖畔の側でアイデアスケッチを描いてたんだけど、周りにはパソコンもないし電話も鳴らないから、やることと言ったら、景色を見るか、絵を描くかしかない。自然以外になにもない、この限られた環境の中で過ごすしかないって頭もわかるからか、描くことに集中できたし、その時間を楽しめた気がする。
ゆったりした気持ちでたき火を囲む
伊藤:僕はキャンプって子どもの時に家族と行った以来でさ。だから、自分で薪をくべながらたき火をするのが初めてだったんだけど、たき火っていいね。ずっと見ていられる。
小林:うん、昨晩のたき火の時間は会話がなくても居心地よかったね。真っ暗な中、静かに燃える火を見ているうちに、リラックスできたのかな。
上山:そうだね、僕もあの時間が心地よかったし、癒されてた実感あるな。
伊藤:昼間からこの環境の中でのんびりすごして、徐々に自然の中に慣れていったことが、リラックスとか快眠につながったんじゃないかって思うんだよね。到着してすぐに夕飯とたき火だったら、慌ただしく寝床とかごはんの準備とかしているうちにあっという間に日が暮れちゃって、心も落ちついていないし環境にも馴染めてないしで、そわそわしたままたき火を囲んでたんじゃないかな。
上山:それで結局、夜更かししちゃったりしてね。今回みたいにゆったり過ごしてよく眠るキャンプって初めてだったけど、自分にはすごく合ってた気がするなぁ。
小林:うん、今回のキャンプのスタイル良かったね。一人の時間とみんなでいる時間のバランスも心地よかった。あ、コーヒーまだあるよ。もう一杯どう?
伊藤:朝ごはんも用意しようか。よく寝て早起きしたら、お腹も空くね。
上山:食べたら、帰るまでもう少し、自然とのんびり過ごそう。