ちょっと郊外で、緑に囲まれて暮らす
泉北ニュータウンと泉北茶山台二丁団地
今回から数回にわけて、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトが手がける関西エリアの3つの団地について、その魅力を取り上げてみたいと思います。
みなさんは「ベッドタウン」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
なんとなく、整然と団地が並んでいそうとか、郊外で不便そうとか、住宅しかなくて殺風景だとか、人工的につくられた街というイメージの人も多いのかもしれません。しかし、建設から数十年建った今、団地には開発当時に植えられた木は森に、時間の積み重ねでほどよく馴染んだ風景がそこには広がっています。
今回ご紹介する、泉北茶山台二丁団地は、広大な泉北ニュータウンの中にあります。
泉北ニュータウンは、関西の2大ベッドタウンのひとつです。ひとつは、日本初の大規模ニュータウンとして有名な千里ニュータウン。そしてもうひとつが、その5年後に入居が始まった、今回ご紹介する泉北ニュータウンです
。
大阪市に隣接した、堺市と和泉市にまたがる1,557ヘクタールの広大な泉北ニュータウン。千里ニュータウンより多い18万人が居住する街として開発されました。
場所は、大阪の都心部、南海難波駅から直通の泉北高速鉄道で約30分、泉ヶ丘駅、栂・美木多(とが・みきた)駅、光明池(こうみょういけ)駅の3駅に渡り、駅を中心として団地エリアが広がっています。
泉北ニュータウンの玄関口 ~ 泉ヶ丘エリア ~
ここは泉北ニュータウンの玄関口です。昭和の雰囲気が残る活気ある商店街やショッピングセンター、そして緑豊かな公園に囲まれた泉ヶ丘エリア。泉北ニュータウンの中でも初期に開発されました。
駅前は、昔ながらの商店街やショッピングタウンなど昭和の面影も残しつつ、高島屋やパンジョ、TSUTAYAなど新しめの商業施設や、図書館や文化施設などが集まる活気のある街です。
駅の北側ロータリーに出ると、巨大なポイントハウス群がにょきにょきと姿を表す泉北竹城台一丁団地。色褪せた青やピンクの外観がとても可愛らしく、森の中に団地が建っているかのように静か。団地の北側には調整池が広がり、自然に溶け込んだ緑の深い団地です。
駅の反対側、南側の商業エリアを抜け、緩やかな坂道の上に建っているのが、今回のMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの舞台のひとつとなる「泉北茶山台二丁団地」です。
駅から少々離れていますが、賑わいのあるショッピングセンター内を通り抜けたらすぐ団地といった印象。駅からはバスも出ています。
地名の由来にもなっている茶畑を開発した、丘陵地に建つこの泉北茶山台二丁団地。土地の起伏に沿って配置された住棟と、その間に広がる豊かな緑。ところどころにかわいらしい花々がさりげなく姿を見せます。
団地内には、階段室を中心に左右に住戸が並ぶ5階建ての階段室型住棟と、先ほどの3面開口の住戸がワンフロアに2つしかないボックス型のポイントハウス、片廊下型の高層棟の3タイプの住棟で構成されています。
だったら子どもやそのママたちで賑わう人気スポットになるかもしれません。
団地の先には小学校があり、学校帰りの小学生が団地の中をよく駆け回って遊んでいます。子どもの遊び声が響く、のどかな団地です。
静かな環境と公共施設の充実 ~ 栂・美木多エリア ~
泉ヶ丘駅からひと駅の栂・美木多駅は、駅前にダイエーがありますが、両隣の駅と比べて静かな印象。公共施設が充実しているのがこのエリアの特徴です。
小学校、中学校はもちろんのこと、近畿大学病院や堺市役所の分庁舎、図書館、西原公園という大きなグラウンドのある公園など、子育て、ファミリー世帯には住みやすいエリアかもしれません。
日常的な買物は、団地から車で10分程度のところにあるクロスモールというショッピングセンターに行くことが多いよう。ホームセンターやオートバックス、スーパーのイズミヤ、なんと映画館まで揃っています。休日は家族で1日を過ごすという人も多いでしょう。
駅のすぐ北側にある、泉北桃山台一丁団地は、5階建ての階段室型の住棟で構成された団地です。背丈の低い住棟と住棟の間には、子どもたちが自由に駆け回れる広場や、芝生や住棟より高い木々に覆われています。
一方、駅のすぐ南側にある泉北原山台一丁団地は、吹き抜けの回廊型廊下から住戸にアクセスする高層住棟を中心とし、茶系のタイル張りが落ち着きを見せる団地です。
高層階から眺める泉北エリアの景色は他の団地にはない魅力とも言えます。
またこの団地には、部屋の内装に住み手が手を加えられるDIYが可能な部屋があります。自分の好みで部屋の内装などを変更してもあとで復旧しなくていいという画期的な仕組み、UR都市機構のDIY住宅があります。
商業施設が充実した賑わいの街 ~ 光明池エリア ~
光明池駅はイオン、ダイエー、コムボックス、駅直結の専門店サンピアなど、大型の商業施設が充実しています。
駅の北側は光明池駅前団地、駅の南側の商業施設ゾーンを抜けると、泉北鴨谷台三丁団地、泉北城山台二丁団地と続きます。
泉北鴨谷台三丁団地はその凸凹な外観が特徴的です。その奥には段々畑のような住棟でテラスが気持ち良さそうな分譲タイプもあります。
泉北城山台二丁団地は駅から一番遠いですが、その分静かで、落ち着いたエリアになります。
リノベーション住戸について
いかがでしたでしょうか。少しこの街の雰囲気が伝わったでしょうか。泉北エリアの団地はどれもそれぞれ特徴がありながら、共通して長い年月を重ねて成熟した緑豊かな環境です。親子で安心して遊べる公園、そしてのんびりとした空気感、忘れかけていたのどかな暮らしがそこにはあります。都心から30分、ちょっと郊外の団地で緑に囲まれたのびやかな住まい。団地だからこそ得られる住まいの価値なのかもしれません。
今回のMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトでは、泉北茶山台二丁団地の中でも、団地のスタンダードともいえる階段室型の住棟の1室をリノベーションします。
階段室型の住棟は、南北2面に開口部があるため、家中風が抜け、エアコンがなくても自然の風だけで過ごせるほど。光も十分に入り、自然とともに暮らす心地よさを教えてくれます。
それはこの時代の最も典型的な住戸タイプです。その素材の良さは十分にあるものの、お風呂が小さかったり、洗濯機置き場の位置がわるかったり、設備が古くなっています。
当時の4人家族を前提に小割りにした間取りも、現代の暮らしには合いそうにありません。リノベーションという手法で現代の暮らしにどうあわせていくのか、泉北茶山台二丁団地を通して考えていきます。