町が、生きていることを知る
第10回 GULIGULI 對中剛大さん インタビュー
プロフィール
對中剛大さん:GULIGULI プロデューサー
GULIGULIへ携わるようになってから、池田へ足を運ぶようになった對中さん。ピクニックコーディネーターという仕事柄から公園へ訪れることも多く、池田でもお気に入りを見つけたそう。その空間を通して、いったいどんなものごとに出会ったのでしょうか? GULIGULIの屋上から池田の町を見渡し、一緒に町中へと入っていきました。
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- まさに一望できる場所ですね。
- 對中さん:
- そうなんです。山だけでなく伊丹空港や阪急電車も近くに感じられて、池田城から見る風景とも、またひと味違いますね。夜もすごくきれいなんですよ。普段ここは解放していないんですが、以前は夕暮れのサンセットヨガを行なったこともあります。池田の町全体を見渡すことができて、大好きな景色です。あっちの高架下に小さな公園があるんですが、ちょっとおもしろいんですよ。行ってみましょう。
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- こんなところに公園があるんですね。
- 對中さん:
- 石橋駅からGULIGULIへ向かう途中で見つけたんですが、なんだかアウトドアリビング感がありませんか? どことなく室内のような雰囲気がして、GULIGULIのスタッフもみんな気に入ってるんです。
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- 確かに、街中に突然現れた不思議な空間ですね。
- 對中さん:
- これって都市の隙間が、きちんと有効活用されていることかなぁと。テーブルなど、住人が思い思いのものを持ちよって公園ができていて、街が生きている証拠というか。
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- というと?
- 對中さん:
- 例えば公園をはじめとした街の要素は、一見工事が終われば完成のようですが、住む人たちの意思や生活によって、どんどん様子が変わっていくと思うんです。そこにある暮らしに合わせて変化されていく。そうやって見てみると、町の中にあるさまざまなものが興味深く見えてくる。
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- なるほど。つくった人たちの意思だけでなく、利用する人の意思が加わって変わっていくんですね。
- 對中さん:
- あと、こっちの柱は壁くらいの大きさがありますよね。ここに座ると向こうから見えないので、半プライベートの空間が生まれているなぁと。パブリックな場所でありながらも、隠れる隙間のようなものが存在することで、部屋というか、居心地の良い場所になるんですよね。
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- 普段どんな時に公園に行かれるんですか?
- 對中さん:
- 頭の中をリセットしたい時や、ピクニックをする時に。公園って街によって、全然雰囲気が違うんです。オフィス街にある公園は、オフィスワーカーが利用することが多いから遊具がなかったり。樹木も常緑樹だけのところもあれば、落葉樹ばかりのところもあったり。気にしながら見てみるとおもしろいですよ。
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- こんな隙間にも公園が。
- 對中さん:
- ここの木々は、全部常緑樹なんです。植栽花壇や木々がないと、奥にある駐車場が丸見えで、単なる隙間に見えてしまうんですね。今とは全然違うイメージになってしまう。日本の公園は、ジャングルジムや砂場があったり、遊び方を提示する公園が多いですが、ここはこの動物の遊具がいいなと。これをよじ登ったり滑り降りたり、使う子どもが自分で考えて、遊びが発生するので、教育としての役割もありますね。
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- 公園でリラックスするだけでなく、観察もされているんですね。
- 對中さん:
- たぶん建築やランドスケープデザインに携わっている人って職業病のように、場所を観察してしまうんだと思います。無意識にベンチの高さを測っていたり(笑)。高さによって足を全部乗せて座ったり、ぶらぶらさせたりと座り方も変わってくるので、それだけでシーンが変わっていくんですよね。もう少し歩くと、僕の好きな水月公園があるので、そちらに向かいましょう。
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- すごく大きな公園!ここはどんなところが好きですか?
- 對中さん:
- 真ん中が円形になっていて、広々とした大きな風景が気持ちいいんです。公園の中央にたどり着いて振り返ると見える、景色も好きです。この道の植栽花壇に人が腰掛けていると、また道の表情ががらっと変わって。急に道にスケール感が出て、ぐっとくるんですよね。人が座って初めて生まれる印象や空間というのは確かにあって、そういうことを自分で探すのが好きなんです。
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- 人の存在も、作用しているんですね。他にはどんなところに惹かれますか?
- 對中さん:
- 奥の植栽花壇は高さが40センチくらいなので、座れる高さなんです。でもそのすぐ近くの植栽花壇は、20センチくらい。そうなると腰掛けにくいので、横向きに三角座りで座ったりすると思うんです。同じ公園内でも一つひとつのものによって、使い方や人の反応が変化していって、そういうことを見つけるのが楽しいんです。
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- 一つの空間はたくさんの作用で成り立っているんですね。
- 對中さん:
- この階段だってそうですよ。日本人の身長はだいたい160cm~170cm程度なので、もし階段の横の生垣がもう少し低ければ、向こう側の景色も見えてしまう。でも今くらいの高さであることによって、上に登り切った時にパッと広がる空間に対する驚きが演出できる。つくられているものごとの効果を見つけていくことは、僕にとって公園を楽しむ要素なんです。
GULIGULI 對中剛大さん
「屋久島の苔の森」をテーマにした庭と、カフェ、ギャラリー、コミュニティルームでつくられるスペース。「自然のごちそう」をテーマにしたカフェメニューにワークショップ、月単位で変わる展示が楽しめる。