無印良品は1980年の日本に、消費社会へのアンチテーゼとして生まれました。
当時の日本は、資本の論理が優先され、「売るため」にモノが本質から離れていた時代。
無印良品は、そのような状況への批評を内側に含むものとして、
「無印」という立場に「良品」という価値観をつけて誕生した概念です。
その発案者のひとりである田中一光は、20世紀の日本のグラフィックデザイン界を代表するデザイナーであり、
また亡くなるまでの20年余に渡りアートディレクターとして無印良品の思想を表現し、
モノづくりに多大な影響を与えた存在でした。
その意志を引き継ぎ、無印良品は今も生活美学の専門店という視点から「感じ良いくらし」を探求し続けています。
田中一光没後10年、あらためて氏が無印良品にこめた思いをご紹介します。
自然と 無名で シンプルに 地球大
生活美学を大事にしよう
簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を拡めることができれば少ない資源で生活を豊かにすることができる
どこか破綻があっても個性を持っている方がいい
「良い商品」+「良い情報」+「良い環境」の3本柱が1つでも欠けると、良い商品は成立しない
あまりに量産型の商品というのは会議の合議制みたいなもので、特徴を削り取られてしまう
無印良品とは「思想」であり、「ライフスタイル」である
無装飾ということも、必然性さえあれば、それは素晴らしいデザインだと思っている
ステーキを食べたり、フォアグラを食べたりして、もう飽食になってきた時に、「ああ、お茶漬けはうまいな」というような感覚が、無印良品です
飾らないという思想は、やたら模様をつけたり、色をつけたりしているものよりも非常にインテリジェンスが感じられる。
美を鑑賞ではなく、モノで伝播していけないか、商いを通して美を伝播することができないかと思っていた。無印良品は、商いを通すことで、人々が喜び、そして美を伝播することができる
この時代にどういう生活をするのかをテーマとして、無印良品は人間と自然の関係を考えるベーシックな商品づくりを目指さなければなりません
無印良品は、高級ライセンス商品に対する、極めて大きな反逆であり、アンチテーゼである
売場演出にあっても、無印良品は素材そのものを大事にする
世の中がだんだん爛熟飽食になってくればくるほど、無印良品の「はっきりした思想」が生きてくると言えるだろう
生活をよく観て商品開発をすることが大切です。さらには、生活体験が少ないと、良い商品も生まれてきません
無印良品とは、一周遅れと同位置のトップランナーのようなもの
視点をちょっとずらすと思いがけないところにメリットの発見があって、そこが新しい切り口になる