地球の凹凸
地球で一番高い山はどこでしょう?
そう質問されたら、多くの人は『エベレスト』と答えるのではないでしょうか。
言わずと知れたネパール、中国に跨る高山ですね。
先日の三浦雄一郎さんによる
世界最高齢での登頂は大きな話題を集めました。
地球で一番高い山は南米にある、そう言ったらほとんどの人は
『そんなことはない』と思うに違いありません。
けれど、本当に南米にあるのです。
カナダのバンクーバーを出発して11ヶ月。
アメリカ、メキシコ、中米諸国を通過し、
コロンビアを経由し、さらに南進するとエクアドル共和国に入ります。
エクアドルとはスペイン語で『赤道』の意味。
首都であるキトのすぐ北には地球の中心線である赤道が引かれています。
そんな地球のおへそに位置するこの国は、
太平洋に進化論で有名なガラパゴス諸島を抱え、
内陸に入って行くと大河アマゾンの支流を持っています。
そのエクアドルを南北に走るのがアンデス山脈。
このあたりは北南米縦断道路であるパンアメリカンハイウェイ沿いに
5000m級の山々が連続して並び『アンデスの廊下』と称されています。
キト近郊にあるコトパクシ山は5897mのエクアドル第2の高峰。
地球というのは実は、ほんの少しだけ南北よりも東西に長い楕円形です。
赤道直下のこの国の山々は、地球の核からの距離で言えば
エベレストよりも高くなるのです。
月明かりが微かに照り返す白銀の斜面を一歩一歩踏みしめるように登ります。
ピッケルとアイゼンの僅かな喰い込みが僕を上へ上へと導きます。
すっかり空が白みきった午前7時、山頂に到着。
そこから見える景色は、まさに天空世界。
眼前に広がる雲海の向こうに、地球で一番高い山チンボラソ山も見えます。
僕たちは『地球は丸い』と教えられて育ってきました。
でも考えてみれば、この地球には海もあり、山もあるのです。
たくさんの凹凸を抱えたこの星を、
『地球は丸い』で簡単に片付けてしまうのは
少しもったいない気がします。
自分の足でこの地球の凹凸を感じたい、そんな風に思うのです。