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商いは飽きない

2013年10月16日

「商いは牛の涎(よだれ)」ということわざを知っていますか?
商売は牛の長く垂れる涎のように気長に辛抱強くという意味です。
つまり商いは飽きずにやることが大事だということです。

ロンドンの表参道ともいえるオックスフォード通りでは、
世界各国選りすぐりのブランドたちが日々凌ぎを削っています。
飽きたら負けよの商いの世界。
通りに面したショーウインドーはあれやこれやと趣向を凝らし、
群雄割拠の戦舞台です。

ロンドンに 6店舗を構えるMUJIの一店舗も
ここオックスフォード通りにあります。
ちょうどこのお店が改装するということで、その様子を取材してきました。

海外の店舗では様々な規制があり、食品を始めとして一部商品が販売できず
日本のようなフルラインナップでの商品展開が出来ません。
そこで今回の改装は人気商品のトラベルグッズの打ち出しと
売場ゾーニングの見直しで得意分野を伸ばす、がポイントだそう。

日本から強力な助っ人もやってきました。

海外VMD担当の樋熊さん(右)と田中さん(左)です。
簡単に彼らの仕事を説明すると、
お客様が買いやすい陳列レイアウトと店舗の演出を担当しています。
演出とはバリエーションや機能の紹介、商品の使い方を、
売場を通じて提案すること。

例えばこれはごくさり気なく展示されたグラスですが、
重ねて収納できる機能や、色の種類を表現しています。
売場の「物言わぬ販売員」を育てることが彼らの仕事です。

彼らの指示の下、スタッフ一丸となってお店を作り上げていきます。

簡素さを基調とした無印良品の商品を魅せる最大のポイントは
「整然」と、です。
縦横のラインを直線的に整え、ぴしりとしつらえていく。

この作業は簡単なようで緻密を極めます。
それこそmm単位で調整をして売場を作っていきますが、
時にアクシデントでプラン通りに行かないことや、
思ったよりも商品の密度やボリュームが足りない場面に出くわすことも。

そんなとき頼りになるのは、やはり現場を知るスタッフたち。
「この棚をあと5cm下げれば、もう一列このポーチを出せて綺麗に魅せれるわ。
それにこのポーチはこのお店のベストセラーなの」
と魅せる売り場と実利にかなった提案が上がってきます。

こうやってお互いのアイデアを寄せあってお店は出来上がっていくのです。

目指すは世界最先端のMUJI。
無印良品の商品が"変わっていないようで日々進化している"ように
無印良品の店舗も"変わっていないようで日々進化している"のです。

さて、今回は普段なかなか見ることが出来ない、
「無印良品の作り方」をお伝えしましたが、
ここでは写真でもお楽しみいただこうと思います。
時計回りに見ていくと、
少しづつお店が出来上がっていく様子をご覧いただけます。

【地上階】

【地下】

ところでリニューアルオープンを迎えた初日、
お客様の思いがけない反応があったようです。
今回から新しく導入したスタンプサービスが大好評で、
グループで5冊組のノートを買って、
それをシェアしてそれぞれスタンプを押す姿がよく見られたそうです。

狙い通りにモノが売れるのもガッツポーズものですが、
当初の狙いとは思いがけないところで起こる化学反応、
これがあるから商売の世界は奥が深いのですよね。

今時、画面越しにクリック一つでモノが買えてしまう世の中ですが
こうして新たな買い物の楽しみが生まれることも、
お店に足を運ぶ意味の一つです。

やっぱり「商い」は「飽きない」のですね。

  • プロフィール 元無印良品の店舗スタッフ

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