各国・各地で 自転車世界1周Found紀行

アイアム サンダリスト

2013年12月04日

僕は地球を旅するサイクリストです。
曲がりなりにも2年半ほど、世界各地を巡ってきたので、
そう名乗っても問題はないでしょう。

そして僕はまた、サイクリストであると同時にサンダリストでもあります。
サンダリリストとは文字通り、あの履物のサンダルを愛用する人のことを指します。
自転車に乗るときも、街を歩くときも、
四六時中サンダルと寝食を共にする生粋のサンダル推奨派なのです。

僕の旅行に限らず海外旅行において、
サンダルは欠かすことの出来ない便利アイテムです。

まず窮屈な飛行機内でのリラックスを促してくれ、
旅の目的地がビーチだった場合、引き続き水場でサンダルが大活躍します。

安宿にありがちな水回りが汚れているような場合は、
サンダルを履いてシャワーを浴びることが出来ます。
就寝前のくつろぎの時間は言わずもがな、でしょう。
様々な場面でサンダルは活躍の場を持っているのです。

旅行とは、元々非日常を楽しむためのものですから
サンダルが与えてくれる開放感は、旅行の非日常の演出に一役買ってくれます。
何よりもあのサンダルのペタペタという柔らかい音、
これがビジネスシューズにあるようなカッカッという硬く響く音だったら
なんだか気持ちも常に緊張してしまうように思います。

僕の現在地アフリカの小国マラウィは、大陸を縦断する大地溝帯に位置し、
大地の切れ目に出来たマラウィ湖岸は、
これぞアフリカ!といって蒸し暑い気候が続きます。

そんな場所で自転車を漕いでいると、少しでも快適に、と思ってしまうのが世の常。
サンダルはそんな願いに蒸れ知らずの足元でもって応えてくれます。

道端に涼しげな清流を見つけたら、そのままの足でドボン!
自転車とその土地をシームレスに繋いでくれるアイテムなのです。

最も自転車では、一般的な鼻緒タイプのサンダルでは親指の付け根に
負荷が集中してしまい不向きです。
僕はつま先にトゥガードのついたストラップ締めの
アウトドアサンダルを愛用しています。

僕の自転車はトゥクリップという足とペダルを固定する道具を使って
ペダリング効率を上げていますが、
そんな時つま先が痛まないようトゥガードが守ってくれます。

また街歩きの場合も、途上国ほど通りにはゴミが散乱し、路面もガタガタですから
不意の躓きからもつま先を保護してくれます。
鼻緒タイプと違って、靴下を着用した状態で履くことが出来、
露出した肌の部分の保護と、感染症の予防にも役立ちます。

しっかりとしたソールも、ペダリングの際に確実に力を伝えてくれて自転車向き。
ラフなトレイルでなければ、簡単なトレッキングもこなします。

そしてストラップ式というのも重要なポイントです。
無段階調整式のストラップのお陰で、どんな足のサイズにも対応します。
僕の場合、今の蒸し暑い気候から氷点下の山岳路まで
幅広い温度域を走る可能性がありますが、
温度調節は靴ではなく、靴下でするようにしています。
そうすると、薄手から厚手、はたまた2枚重ねと様々に足の大きさは変化します。
大きさの変化に完璧に対応してくれるのが、ストラップ調整式サンダルです。
がっちりホールドされた足元は、街歩きで不審者が後ろをついてくる場合などに
靴と同じように走ることも可能にします。

雨の天候下でもサンダルは有用です。
雨の日の走行が続くと、濡れたものを乾かすことは思ったよりも困難です。
トレッキングシューズなど防水性を高めた靴もありますが、
どうしても長時間雨にさらされると、縫い目や足首から浸水してしまう場合があります。
そして防水性の高い靴ほど、内側に溜まった濡れはなかなか乾いてくれません。
一日だけの大雨、ならば割りきって濡れを我慢出来ますが、
雨の降り続く地域ほど、乾いた装備を運び続けることは至難の技なのです。

それならば濡れてはいけないものを濡らさないようにするよりも
濡れてもいいものを濡らす、という考えでサンダルを履き続けるのです。
気温の低い地域であれば、靴下を履いて保温性を高め、
その上にスーパーのレジ袋を履くことで
十分な防水性を発揮します(見た目はともかく、ですが)

ところで今のサンダルは2代目にあたります。
初代は、ストラップが切れれば街の靴屋に持って行き革のパッチで補強し、
ソールが剥がれれば、接着剤でつけて丈夫な糸で縫い付けて修理し、
2年間僕の足元を支え続け、天寿を全うしてくれました。
それほどまでに酷使するほどに今や
サンダルなしでは、どこにも行けない体になってしまったのです。

苛烈な気候下を除けば、ほとんどの環境に対応できる万能性。
自転車旅が土地の「素」を体験しながら進んでいくように、
サンダルもまた、出来る限り裸に近い状態で、
土地の空気を感じ取るための大事な道具の一つです。

足の甲に出来た『Z』の日焼け後は、サンダリストの証明なのです。

  • プロフィール 元無印良品の店舗スタッフ

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