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イントロダクション 無印良品と自転車

2013年07月10日

はじめまして。
2011年6月より自転車世界一周に挑戦中の伊藤篤史と申します。
この度、縁あって本ブログを通じて皆さんに、
自分の旅の行方をお伝えしていくことになりました。

旅に出る前、僕は無印良品で4年間働いていました。
無印良品をもっと知るために、より無印良品らしい生き方をするために
僕は会社を辞め、
自転車という手段で旅をすることにしました。

無印良品と自転車旅っていったいどんな風に繋がっているの?
そんな風に思う方もいらっしゃるかもしれません。
じつはこれって深く近いところで結びついているのです。

その関わりを説明するために、まずは質問をさせてください。

あなたは無印良品と聞いて何を連想しますか?

「私は文房具が好き。」
「お菓子が美味しいよね。」
「部屋のベッドは何年も使っているよ。」

きっとその人達それぞれに違う答えが返ってくるでしょう。
無印良品は衣食住、約7000品目の商品を販売しています。
自分にとっての無印良品のイメージが人それぞれに違うことは当たり前。
その明確な答えのない抽象的な存在が無印良品なのです。

けれど、無印良品のお店で売っているあらゆる商品に共通することがあり、
それは
「地球規模で素の暮らしを見つめて、生活者視点でのモノづくりをする」
ということです。

綿を例にとると。

夏になると、店内の目立つところにはインド綿のファブリックが
よく目につくようになっているでしょう。
インド綿は吸湿性が高く、ざっくりとした肌触りの生地は
通気性がよく蒸し暑い夏にピッタリ。
インドの夏は暑いですから、暑さを凌ぐための天然素材が発達したのでしょう。

こんな風に無印良品は世界の暮らしの知恵を抽出し、商品として具現化しているのです。

自転車で旅をするということは、道を行くことです。
道というものは本来、川の水を手に入れるためや、
隣の集落と交易をするためなどの踏み跡であり、
より多くの人が行き来するようになって、
轍が踏み固められたことで道となったのです。

道とは人間が生きていくために必要なものなのです。
そして道あるところに暮らしが生まれ、集落が形成され、
また、その先へと続く道が紡がれていきます。

自転車は車や飛行機のように、一度乗ってしまえばオートマチックに
次の目的地に到着するものではありません。
道上に存在する地のモノを食べ、同じ床で眠り、
その土地の人間とコミュニケートしなければ次の土地に進むことはできません。
あらゆる行為が道を知ることそのものです。

僕の旅は危険と隣り合わせの冒険やアドベンチャーではありません。
道を拠り所とし、その土地に暮らす人々の暮らしを体感することが
自分にとっての無印良品を体現する手段の一つなのです。

無印良品誕生に携わった故・田中一光氏の言葉を引用すると
「無印良品とは思想であり、ライフスタイルである」

無印良品に囲まれていることが無印良品なのではなく、
無印良品らしい生き方をしていきたいです。

今回の連載にあたって、
これから数回に渡り過去2年に渡る旅の記録を振り返った後に
現在進行形で僕の旅をお伝えして行きたいと思っています。
自転車に跨り、世界の暮らしを巡る旅を、
みなさんとともに分かちあえれば
旅人冥利に尽きるこの上ない幸せです。

  • プロフィール 元無印良品の店舗スタッフ

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