MUJIキャラバン

せともの

2013年03月11日

一般的に陶磁器のことを総称して「せともの」と呼んだように、
日本人の食卓で慣れ親しまれた存在の「瀬戸焼」。

その名の通り、愛知県瀬戸市周辺で作られる焼き物は、
朝鮮から伝わった焼き物の産地とは成り立ちが異なり、
備前・信楽・越前・丹波・常滑と並んで「日本六古窯」のひとつに数えられています。

その歴史は、古墳時代にまでさかのぼるようですが、
他の産地と異なる特色を出すようになったのは、鎌倉時代。

高温で吸水性がなくなるまで焼き締める方法が一般的だったなか、
本格的に釉薬(うわぐすり)をかける技法を駆使していたのは、
当時、瀬戸が唯一の存在だったのです。

瀬戸焼に代表される1977年に伝統工芸指定された「赤津焼」には、
赤津七釉と呼ばれる代表的な7種類の釉薬が用いられています。

平安時代からの「灰釉(かいゆう)」にはじまり、
「黄瀬戸釉(きぜとゆう)」、

茶器に多く見られる「織部釉(おりべゆう)」、

「御深井釉(おふけゆう)」、

他にも「鉄釉」「古瀬戸釉」「志野釉」と、
茶華道の発展にともない、優雅な美しさの釉薬が生み出されていきました。

その後も、強度に優れ良質な美しい白土が取れた瀬戸は、
尾張徳川家の御用窯として栄え、焼き物の一大産地に発展していきます。

※写真は今も採掘される鉱山の様子

19世紀には、九州から伝わった磁器の生産もはじまり、
日用雑器から茶道具、美術工芸品まで、あらゆる陶磁器が作られるように。

さらに、現在の瀬戸を語るうえで欠かせないのが、
戦後、海外輸出用に生産されてきた「セト・ノベルティ」の存在です。

※写真提供「テーケー名古屋人形製陶株式会社」

まるで布地で作られたようなこの人形は、
実は陶磁器で作られたものでした。

明治期には陶彫技術や石膏型製法が確立していたという瀬戸では、
その技術の高さが海外から評価され、戦後の瀬戸窯産業を牽引するほど、
陶磁器製の置物や装飾品が輸出されていたのです。

現在では円高の影響で、輸出品はほとんどなくなってしまいましたが、
この頃に礎を築いた石膏型製法が、今の瀬戸の産地としての特徴のひとつになっています。

「陶磁器の一大産地として栄えてきた瀬戸は、どんなものでも作れてしまう産地です。
なかでも、"ガバ鋳込み(いこみ)"製法は得意といえるかもしれません」

そう話すのは、瀬戸の地で古くから産地問屋を務める、
霞仙商会の加藤陶忠社長。

ガバ鋳込みとは、石膏型に液状の粘土を流し込み、
石膏に面している粘土が乾いてきたところで排泥し、成形する製法のこと。

泥をガバっと捨てることから、ガバ鋳込みと呼ばれているのだとか。

ローラーマシンによる大量生産を得意とする至近の美濃に対して、
この"ガバ鋳込み"は瀬戸の得意とする分野。

ポットなど、いわゆる"ふくろもの"に使われる技法で、
近年、この技術を持つメーカーが少なくなりつつある貴重な技術です。

無印良品のふくろものの磁器ベージュ商品も、
実はここ瀬戸で作られています。

型の継ぎ目にどうしても付いてしまう"バリ"は、
一つひとつ、職人によって舐めされていました。

驚いたことに、そのほとんどが手作業によるもの。
ひとつ、またひとつと、丁寧に次の工程に進んでいきます。

「常に使っていただく人の気持ちに立って、ものづくりに励んでいます。
いつもこうして仕事ができることに感謝しているんですよ」

自ら窯を立ち上げて四十余年になる酒井五鈴子さんは、
ものづくりに対する姿勢を笑顔で語ってくれました。

お孫さんが窯を継ぎたいと自ら志願してきたというのも、
そのイキイキと仕事をする姿を見てきたからに違いありません。

栄枯盛衰を繰り返しながらも、
1000年以上にわたって日本の焼き物を牽引してきた瀬戸焼。

それを支えてきたのは、紛れもなく
代々ひたむきに陶器づくりに励んできた瀬戸の陶工たちであって、
これからもそうあり続けることを願ってやみません。

名古屋名物!

かつて織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の歴代の名将を生んだ
尾張(現愛知県)の中核都市、名古屋。

豪華絢爛を誇った名古屋城の金のシャチホコが、
現代においても「名古屋嬢」や「豪華結婚式」に表れるような
名古屋人の気質を象徴しているかのように思います。

そんな名古屋の繁華街、栄にある、無印良品 栄スカイル店を訪ねました。

日本三大都市圏の人気商品とは!?

スタッフさんたちにご案内いただいた先は、飲料コーナー。

「こちらなんです♪」と手に持たれているものは…、

フェアトレードコーヒーの「スタンダードブレンド」

コーヒー豆でした!
そう、名古屋といえば喫茶店文化の中心地。

朝の時間、コーヒーを頼めばトーストなど軽食が付いてくる
通称「モーニング」のサービスも、名古屋が発祥といわれています。

名古屋市以北の一宮市で、
早朝から喫茶店に集まった繊維産業で働く従業員のために、
店がピーナッツやゆで卵を付けたことがきっかけとか。

実際、愛知県民の喫茶代への家計の支出額は、
同じくモーニングの盛んな岐阜県に次いで全国2位。

喫茶店に足を運びながらも、自宅用のコーヒーが人気というから、
愛知県民のコーヒー好きは本物ですね!

雑誌や新聞が置いてありゆっくりできる喫茶店も多く、
モーニングしたいがゆえに早起き!
なんてモチベーションが湧くのも良い効果かもしれません。

この文化、全国的に広がったらうれしいものです☆

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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