MUJIキャラバン

BUNACO

2012年07月20日

クリエイティブで、エコロジカル。
伝統工芸でありながら、モダン。

そんなモノづくりが、青森県にありました。

「BUNACO(ブナコ)」

薄い板状にされたブナの木から生み出される
ユニークなプロダクトです。

とてもモダンなデザインですが、その歴史は比較的古く、
1956年、日本一の蓄積量を誇る青森県のブナの木を
有効活用するために開発されました。

右のコイル状に巻かれたブナの木が、
左の木の器に様変わりするんです。

その実態を確かめるべく、訪れた先は弘前市にある
「ブナコ漆器製造株式会社」。

古くから使われ続けている町工場は、昔ながらの趣きですが、
今やこの地で生み出された品が、世界へ発信されています。

まず、見せていただいたのが、BUNACOの材料。

大根のかつら剥きのような手法で、
厚さ約1mm、長さ約2mに削られたブナの木を乾燥したものです。

通常、様々な形状の木地を作るとき、
ろくろを使って削り出す製法が用いられますが、
その際、削り出された木は廃棄されることがほとんどです。

ただ、このBUNACOの場合、その無駄がありません。
エコロジカルのゆえんはここにあります。

これを、板にコイル状にきつく巻き上げ、ベースを作ります。
これがかなり力のいる作業のようでした。

続いて、成型の段階で出てきたのはこちら。

お茶碗です。
それも、なんと無印良品のもの!

BUNACOの成型にはお茶碗の丸みと大きさが絶妙のようで、
いろいろと試した結果、無印良品の白磁の茶碗に落ち着いたんだそう。
こんなところでも無印良品が使われているとは、驚きでした。

そんなお茶碗を中央から外側にかけて転がしながら、
徐々に型を整えていきます。

私たちも体験させてもらったのですが、
これが見た目以上に硬く、ハードな作業で、
力を入れないと曲がらないし、入れ過ぎてもダメ。

ただ、そこがクリエイティビティの発揮どころで、
力の入れ具合によって、様々な形へと変化させることが可能なんです。

同じ木地から作った、私たちそれぞれのBUNACOも、この通り。

深さもシェードも異なる2つの商品が出来あがりました。

成型後に液状の糊を塗るまでは、何度でもやり直しが可能。
若い職人が仮に失敗しても作り直せばいいだけなんです。
ここもエコロジカルのポイントですね。

ベテラン職人の手にかかればこんな形も!

瞬時に、ねじれた表情を持つモノもできてしまいました。

こうして作られていくBUNACOのフィールドは、
今や食器にとどまらず、ティッシュケースから、

ランプに、

スピーカーまで。

その曲線美は、見る者の感性をくすぐります。

過去、そのシンプルかつユニークな存在感で、
GOOD DESIGN賞をはじめ、各種アワードを獲得。
今では、海外からも注目を浴びる存在となっています。

昔ながらの技術に、モダンなデザインが加わり、
現代の生活にも自然に溶け込む形となって生まれ変わる。

伝統工芸の持つ大いなる可能性の広がりを
BUNACOから感じずにはいられませんでした。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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