雑穀ごはん
突然ですが、こちらの料理、中身は一体何でしょう?
一見、何の変哲もない揚げ物に見えます。
食べてみると、味は挽き肉の入ったコロッケと、白身魚の揚げ物です。
ただ、中身の正体はなんと...、
これらの雑穀だったのです!
コロッケに入っていた挽き肉と勘違いしたものが「うるちあわ」、
白身魚のフライと勘違いしたものが「ひえ」。
もちろん調理法によりますが、見た目も味も、言われなくては分からないほどでした。
こちらの料理を振る舞ってくださったのは、
Found MUJIの商品として無印良品の一部店舗に並ぶ、
「雑穀キッチン」シリーズの生産者、川口さんと林さん。
写真左の川口さんは、それまでの食生活を改善し、雑穀食を取り入れた結果、
なんと14kgの減量に成功したんだとか!
私たちも、翌日はデトックス効果抜群で、雑穀の効用を身をもって実感しました。
先程の「うるちあわ」は、白米の約6倍の鉄分を含み、
「ひえ」は、白米の約8倍の食物繊維を含んでいるなど、栄養価が豊富なのも雑穀の特徴。
米の量産にともない、消費も生産も廃れつつあった雑穀が、
最近になって、健康食品として見直されつつあるんです。
「休耕田を有効活用することもできるんですよ」
林さんは、自宅前の痩せた田んぼを、雑穀栽培のファームとして復活させ、
実際に農業を営んでいらっしゃいました。
「人間の歯は、穀物を噛む臼歯が20本、菜類を噛みきる門歯が8本、
肉を噛む犬歯4本なので、人類は本来、穀食動物なんですよね。
肉や魚は毎日食べる必要はないんです」
毎日、肉・魚をメインメニューに考えていた私たちにとっては、驚きの言葉でした。
「今から50年ほど前には、日本人の食卓では、あわ、きび、
ひえなどの雑穀が当たり前のように食べられていました。
栄養価の高い雑穀の食事に戻すことで、現代病の多くは改善できると思います」
そんな川口さん、林さんの生産する「雑穀キッチン」、「雑穀茶」及び「ぽんせん」は、
Found MUJIを扱う一部の店舗でお買い求めいただけます。
プレーン(30g・294円)、ごま(30g・315円)、青まぜのり(30g・315円)、
3アイテムを無印良品では販売しています。
最初の千葉県にして、食に対して深く考えさせられる滞在となりました。
食について考えるくらし
近年、「マクロビオティック」と呼ばれる食生活法が注目されています。
「玄米菜食」を基本にしたこの日本生まれの食生活は、
世界の著名人やスーパーモデルたちによって健康と美容のために注目され、
日本へ「マクロビオティック」という呼称で逆輸入され、広まりました。
そんなマクロビオティック料理が食べられる場所が、
千葉県いすみ市にあると聞き、行って参りました。
「Brown's Field」と呼ばれるその場所では、
雑穀やお米、オーガニック野菜などを生産し、
マクロビオティックの理念に基づき生活が営まれています。
金土日には、カフェもオープンし、その食を味わうこともできます。
見た目がとってもキレイなこのプレートは、肉や魚、乳製品を一切使っていませんが、
発酵食品や自然塩を使った味つけはしっかりとしたもので、お腹もいっぱいになりました。
また、砂糖未使用のガトーショコラなんていうのも絶品です。
こちらを営むマクロビオティック料理研究家の、中島デコさんにお話を伺いました。
もともと東京ご出身のデコさんですが、5人の子供をオーガニック食品で育てるには、
東京は物価が高すぎると考えたそうです。
何も、このまま東京にいる必要はない。
そして、自給自足可能な移住先を探すなか、千葉県のいすみ市に辿り着いたのだそう。
東京の都心から越してきたデコさんに不便がないか尋ねてみました。
「不便を感じることは何もないですよ。友達みんなが嫌っていうほど遊びに来てくれるし、
ここには都会になかった、降るような星や、鳥の鳴き声があるから」
また、こうも話してくれました。
「田舎に住むには、広い意味でのコミュニティが大事。
全部自分たちでやるのではなく、みんなでやればできる。
昔は近所の人と、お醤油の貸し借りをしたりして、ある種共同生活をしていたようなものが、
今の時代では、お隣さんの顔も知らない。
だけど実際、各家庭だけで生きていくのは難しいですよね」
希薄なご近所付き合いの都会で生活していた私たちにとっては、
ハッとさせられる言葉です。
「でもまずは、健康な体と、人に使われることなく、
自分主体で周りとつながり合って生きていく術を身に付けることが大事かな」
今回、中島デコさんのお話を伺ってみて、すべてはつながっているのだなと感じました。
デコさんが今のくらしを実現させているのは、「マクロビオティック」と出会い、
自分の食生活を見直すところから始まったのです。
食のことを考えると、体が変わる。
体が変わると、精神が変わる。
精神が変わると、いずれ行き着く先が変わる。
自ら描いたくらしを実現させている彼女の言葉は、説得力がありました。