MUJIキャラバン

我が子菓子

2014年02月19日

小さい頃、家庭で食べたおやつの味を覚えていますか?

それらはお煎餅にかりんとうなど、とても素朴な味。
だけど、どこかホッとする懐かしい味として脳裏に刻まれています。

「大切な我が子に安心な菓子を与えたい」

愛媛県喜多郡内子町にある、宮栄商事有限会社の作る
「我が子菓子 善蔵シリーズ」は、店主のそんな想いから生まれました。

宮栄商事は昭和14年に、食器やお菓子の卸・小売店として創業。

その後、仕入れていたお菓子の製造元が廃業してしまうなどあり、
自分たちでも一部のお菓子を作るようになったそう。

「どうせ作るなら、自信を持って売れるお菓子を作りたいと思いまして」

宮栄商事・3代目の宮瀬貴久さんは、
大学卒業後、大手食品会社と菓子問屋で修業を積んだ後、
家業の宮栄商事に入社。

「自分の子どもに食べさせても安心なものを作りたい。
そうすれば、みんなにも受け入れられるはずだと思ったんです」

宮瀬さんの作るお菓子は、
そのコンセプト「多くを加えず、手を加える」の通り、
保存料、香料などの添加物を一切加えていません。

「昔ながらのお菓子は、もともと添加物など使っていないですからね」

そう話す宮瀬さんは、地元産の素材を使った
新商品開発にも乗り出しています。

工房へお邪魔すると、ちょうどその商品の製造中。

「どうぞ食べてみてください」
そう言われ、ひと口食べてみると、そのフワッとした食感と
意外な酸味と塩味に驚きました。

これは、内子町で栽培された、
"イタリアントマト"を使用したお煎餅でした!

「水の代わりにトマトピューレを使っています。
以前使っていた機械だと、分厚くしかお煎餅を焼くことができず、
しんなりとしか仕上がらずに、一時はあきらめたんです…」

そんな折、機械が壊れてしまい、新しく機械を入れ替えたことで、
うす焼きが可能になったと宮瀬さんは振り返ります。

それでも、"サクッ"とした食感を表現するのに苦労したそう。
そこで、試行錯誤のうえ、米粉を使用することに行き着いたといいます。

こうしてできた「米粉のとまと煎餅」は、小麦粉、卵不使用なので、
アレルギーのお子さんにも安心して食べていただけます。

また、おやつとしてのみならず、
ひと口食べた瞬間に、「これはチーズとワインに合う!」と直感しました。

「このとまと煎餅は、うちの子たちの一番のお気に入りになりました。
手づくりの、まかない料理みたいな我が家用のお菓子ですが、
一人でも多くの人に届けていきたいと思っています」

宮瀬さんが「地味で素朴だけど、飽きずに食べ続けることができる」
と話す、我が子菓子の一部は、
無印良品のFound MUJI 取り扱い店舗でもお買い求めいただけます。

ちなみに、愛媛には柚子の皮を砂糖と醤油で味をつけて煮詰めた
「ゆねり」という郷土料理があり、ごはんのおかずに食べるそう。

ゆず入り芋菓子には、このゆねりの製法を用いた柚子が使われているといい、
お芋と柚子の他にないハーモニーを味わうことができます。

愛媛県の内子町で、一つひとつ手で作られている我が子菓子は、
まさに多くを加えず、手を加えた自然の味わい。

それがまた懐かしい味として、子どもたちの記憶に残っていくことでしょう。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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