自然の恵みに感謝して
群馬県北東部、武尊山の南麓に位置する川場村。
人口約4000人弱のこの村には、豊かな自然とその恵みを求めて、
毎年約90万人の観光客が押し寄せます。
水はけの良い土壌は、豊富な地下水をどんどん流し、田畑を潤すことから、
お米をはじめ、こんにゃく、リンゴ、ブルーベリーなど、
様々な農産物を作り出します。
なかでも、注目されているのがお米。
「雪ほたか」と呼ばれるそのお米は、
平成19年から23年までのあいだ、5年連続で
米・食味分析鑑定コンクールで金賞を受賞しました。
その生産量の少なさから、
一般には流通しない「幻の米」ともいわれています。
実際に、その雪ほたかで握られたおにぎりを頂きました。
米粒がしっかりしていながらも、絶妙のもちもち感。
美味しいお米を作り続けられる要因は何なのでしょう?
「特別なことはやっていないんですよ。
あくまでも基本に忠実にお米を育てているだけで、
あとは川場村の土壌や環境が育ててくれるんです」
株式会社雪ほたかの小林社長(写真右)はそう答えてくれました。
基本に忠実にというのが肝のようで、
生産農家には年5回の栽培講習会に、必ず出席してもらっているんだとか。
徹底して量より質を追求する姿勢は、
小さい村の一つの模範ではないかと感じました。
そして、川場村の自然がもたらしてくれる環境 。
武尊山より湧き出るミネラルたっぷりの天然水による恵みのことは、
次の生産者さんも同様のことをおっしゃっていました。
明治19年創業の酒蔵、清酒「水芭蕉」醸造元の永井酒造。
世界初のシャンパン製法を日本酒づくりに取り入れ、
スパークリングする清酒「MIZUBASHO PURE」を開発された酒蔵です。
このお酒は、世界13カ国にも輸出され、
スペインの世界最高峰のレストラン「エル・ブリ」にも採用されました。
日本酒づくりにおいても、顧客の口に運ばれるまでの工程を見直し、
生酒の状態を極力キープするため、マイナス気温下で貯蔵する貯蔵庫や、
瓶詰め後の火入れ処理など、独自の製法を追求していっています。
人でしかできない五感を使った工程は人が行い、
機械でも行える工程は機械を導入し効率的に行う、
という柔軟な姿勢も印象的でした。
「こうしてお酒がつくれる喜びを忘れないようにしたい」
そう語るのは、この酒蔵の杜氏を務める後藤さん。
このお酒がつくれるのも川場村の美味しい水があるからこそ、
という感謝の意を忘れないため、
毎年、社員で川場村の源流で滝行を行うんだそう。
ここまで生産者の方々が、その土地に愛着と感謝の意を持って、
ものづくりに励まれているとは
。
恥ずかしながら、今まで地理や土地を意識しながら
生活してきたことはありませんでした。
ただ、普段、私たちが口にしている美味しい飲食物は、
すべてその土地にある、自然の恵みから来ているんですよね。
自然に感謝するというのは、至極当然のことなのかもしれない、
と思い知らされました。