セワポロロ
もう、2012年も既に7ヵ月が過ぎてしまいましたね
。
早いものです。
無印良品では今年から年始に、
"福"をお届けする缶詰、「福缶」を販売しています。
中には東北地方(青森県、岩手県、宮城県、福島県)の手づくりの縁起物
いずれか1点が入っていました。
そして、少し気の早いお話ですが、
来年の年始にも、今度は全国から"福"をお届けする予定だそう。
今回は現在準備中のものづくりの現場をちょっとだけお見せしちゃいます♪
訪れたのは、北海道網走市にある「大広民芸店」。
中に入ると、見ているだけで幸せになれそうな笑顔の
大広朔峰さんが迎えてくださいました。
大広さんが作っていらっしゃるのは、
主に北方民族のウィルタ族にまつわる木彫り人形。
網走には戦後、樺太島に住んでいたウィルタ族の人々が移り住んできたそうです。
ウィルタ族はもともと遊牧民で、トナカイを飼育し、
毛皮のテントで生活し、自然に頼る暮らしをしていました。
厳しい自然の中で生き抜くために、彼らは動植物や無生物に精霊を宿していました。
彼らがお守りとして伝えてきたのが、「セワ」(上)と「セワポロロ」(下)。
つぶらな瞳と鼻筋の通った凛とした表情に釘付けです☆
「セワ」とは神をさし、神像として身近な場所において
願い事をして感謝を欠かさないようにと、
家のお守りのためや、狩猟を願うお祭り(オロチョンの火祭り)の時などに
作り出されていたようです。
「セワ」と「セワポロロ」両方に共通するのが
木を薄く削って作られた紐のような部分。
これは「イナウ」と呼ばれるもので、鳥の羽を表し、
古くから神や先祖と人間の間を取り持つ供物として、神聖に扱われてきました。
先述のオロチョンの火祭りにも、欠かせない祭具だそう。
このイナウは、1本の木を削って作られるのですが、
大広さんの手にかかるとスルスルといとも簡単に生まれていきました。
ここで、大広さんがなぜウィルタ族の木偶を作るようになったのかを
尋ねてみると、大広さんご自身がウィルタ族の語り部だということが発覚。
過去には実際にウィルタ族の方に会ってお話を聞いていたり、
年に1回行われている、オロチョンの火祭りの火付け役をされていたり
と活動されていらっしゃいました。
オロチョンの火祭り用の衣装を身につけられると、
先ほどまでの朗らかな印象とは打って変わって、
今度はキリリとした貫禄のある姿に。
そんな大広さんがひとつひとつ心を込めて作ってくださっている、
招福の使者「セワポロロ」が
来年の年初めに福缶の縁起物に仲間入りします!
会えるのを楽しみに待っていてくださいね。
(※福缶の縁起物は、複数ありますので必ずセワポロロに会えるとは限りません)
最後にセワポロロを生みの親、大広さんの手を見せてもらいました。
その手でこれまで何人の子を生み出してきたのでしょうか。
彫刻刀をはさむ小指には、その勲章である大きな豆ができていました。