里山のくらし
つくばエクスプレスの開通によって、
秋葉原から45分で県南のつくば市には着けてしまう茨城県。
農業産出額は北海道に次ぐ日本第2位を誇り、
豊かな自然が残るこの地では、様々なライフスタイルを知ることができました。
まずは、セカンドライフの地として、
筑波山麓の石岡市八郷地区へ移住されてきた、
「cottage wood castle」のオーナー永田さん。
1000坪の敷地にオーダーメイドの輸入住宅を建て、
今はそれをコテージとして貸し出していらっしゃいます。
吹き抜けの木の家は、雰囲気から温かみがあり素敵です。
寒い季節には、裏山から雑木を拾ってきて、暖炉に薪をくべれば、
家全体が温まる仕組み。
火で暖をとると、なぜか心まで和らぎます。
裏の竹林へ行くと、
春の息吹を見付けることができました。
その正体は
筍です!
さらにこちらは、シメたばかりの新鮮な軍鶏肉。
これらをさばいて、調理します。
筍は生で刺身とホイル焼き、それからすき焼きにも加え、
軍鶏は、すき焼きとグリルで頂きました。
どれも自然の恵みそのままの味で絶品!
都会ではなかなか味わうことのできない、贅沢すぎる味でした。
「僕も以前は都会ぐらしだったんです。
でも、密集した住宅事情のなか、隣人を気にしながらの生活から脱却し、
もっと人間らしく生きたいと思うようになりましてね。
満天の星空の下、自然の恵みの食材を食べる生活は豊かですよ」
永田さんは、薪をくべながらそう言いました。
新鮮な烏骨鶏の生卵と、八郷地区の納豆を朝ごはんに頂いた時には、
この味を毎日味わえる地元の人を、心底うらやましく思いました。
「都会じゃこんなに新鮮なモノは滅多に食べられない。
さらに空気まで美味しいのは、田舎の特権です」
都会のくらししか経験したことのない私たちでしたが、
永田さんの言葉によって、豊かさとは何だろうと考えさせられました。
確かに都会は便利かもしれませんが、
自然や自然の恵みを味わえることは多くありません。
豊かさの基準は人それぞれでしょうが、
私たちにとっては、こうした里山ぐらしの価値を感じるきっかけになりました。
「安いから、効率が良いから、ブランド名があるからという基準で選ぶのではなく、
自分や環境にとって、良いか否かを判断基準に生活する。
いわゆるLOHASな生活を追求した結果、ここに辿り着いたんです。
ただ、生涯ここで生活するつもりじゃない。そこは気楽に考えていいと思っています」
自らの道を自らで選んでいる永田さんは、
人生そのものを楽しんでいるように見えました。
豊かなくらしとは?
茨城県北部では、常陸大宮市で「響」という名の農家民泊を営む、
堀江さんご夫妻にお世話になりました。
こちらの農園では、あらゆる野菜を栽培なさっていて、
もぎたてのネギから、
アスパラガスまで
新鮮な採れたて野菜を頂きました。
やっぱり自然の恵みは味わい深いです。
また、驚きだったのが、お風呂です。
木の家らしい、木でできたお風呂だったのですが、
なんとその沸かし方は
薪をくべる形の五右衛門風呂だったのです。
「薪は炭となって、温度が長持ちするから、次の日の朝までお湯は温かいよ」
事実、次の日の朝までお風呂の湯は温かいままでした。
これも、自然エネルギーを使った、生活の知恵ですね。
さらに驚いたのが、お風呂場が木造だと、壁に結露しないこと。
木が呼吸してくれるため、湿気は吸い込まれ、
乾燥してる時は、逆に湿気を吐き出してくれるんだそう。
木の家の力を目の当たりにしました。
堀江さんになぜこの民泊を始められたのかを尋ねてみると、
「都会の人に、豊かさとは何なのかを知ってもらいたい」
という答えが返ってきました。
確かに、このような自然の恵みに囲まれたくらしを体験してみると、
豊かさとは何なのか
と考えさせられます。