MUJIキャラバン

進化する伝統工芸、九谷焼

2012年05月24日

この旅で初めて触れた焼き物は、栃木県の益子焼。

ろくろでの成型に苦戦した記憶がまだ鮮明に頭をよぎるなか、
次に触れた焼き物は、石川県の九谷焼でした。

2012年2月にFound MUJI青山で催された
"日本の10窯"でも取り上げられた焼き物です。

益子焼は陶器に対して、九谷焼は磁器。

以前のブログ「益子焼を体感!」(栃木編)でも記しましたが、
陶器の主原料は粘土で、厚手で重く、熱を伝えにくい性質を持ち、
磁器の主原料は陶石で、薄手で軽く、熱を伝えやすい性質を持っています。

九谷焼は、かつての九谷村(現在の石川県加賀市)で、
良質な陶石が見つかったことを機につくられ始めたようです。

現在でも、石川県小松市で採掘される花坂陶石が原料に使われていますが、
その色は、一般的な磁器よりも若干、黒みがかっています。

そこに、五彩(緑・黄・赤・紫・紺青)をのせて彩るから、
その色彩はとにかく鮮やか!

デザインも、古九谷から始まって、
木米、吉田屋、飯田屋(赤絵)、庄三、永楽(金襴手)と、
伝統的なスタイルは時代ごとに6種類ありますが、

(写真は永楽以外の5種類)

伝統スタイルだけにとどまらないところが、九谷焼のすごいところ。

写真のように、今でも数々の新しいデザインが生み出されているんです。

さらには、土鍋や、

ミルクホルダーといったところにまで!

九谷焼の領域はとどまることを知りません。

このように進化する伝統工芸は、どのようにして生まれるのでしょうか?

「五彩を使える九谷焼は、クリエイターの創作意欲を掻き立てるのでしょう。
さらに、若手であろうと抜擢されるチャンスがありますから。
県営の九谷焼の研修所が造られて、県外からも生徒が集まっていますよ」

今では親子2代で、九谷焼の進化を促している、
九谷焼の製造元卸である、北野陶寿堂の北野義和社長はそう語ります。

他にも、九谷焼に携わる多くの若手作家を見かけました。

「"ジャパンクタニ"と海外で称賛される九谷焼で、
これからも面白いものを仕掛けていきたい。
そのためには、顧客からの要望も重要で、できるだけ受け入れていきたいです」

息子の広記さんも、そう意気込みを語ります。

実際、九谷焼の銀彩が施された「骨壺」は、
顧客からの要望から生まれたものだといいます。

親から子、親方からお弟子さんへ伝統が引き継がれ、
そして、新しい感性で伝統が進化していく。

伝統工芸の一つの展開の仕方を、九谷焼から見たような気がします。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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