MUJIキャラバン

竹あかり

2012年09月26日

お祭りなどで目にする演出といえば、

花火や、

提灯などありますが、
近年、注目を浴びている演出があります。

「竹あかり」です。

写真の熊本「みずあかり」をはじめ、
大分県では臼杵市の「うすき竹宵」、日田市の「千年あかり」、
竹田市の「たけた竹灯籠 竹楽」、佐賀県の「清水竹灯り」など、
九州の各所で竹あかりを演出に使ったお祭りが、
秋の風物詩となっています。

この竹あかりを、日本を代表する演出にすべく、
精力的に活動するチームに、熊本県阿蘇市で出会いました。

「ちかけん」

池田親生(ちかお)さんと三城賢士(けんし)さんによって設立された、
竹あかりの制作・プロデュース集団です。

丸ノコギリのけたたましい音に包まれた工房内には、
竹と格闘するたくましい男たちの姿がありました。

「僕らは竹のオブジェを作っているわけじゃないんです。
人と人とをつなげる手段として、竹を祭に使っているんです」

ちかけん代表の一人、三城賢士さんは、
気さくな笑顔でそう話してくれました。

彼らが目指しているのは、祭の演出屋にとどまることなく、
地域の人たちを巻き込んだまちづくり。

竹あかりを作る工程から、地域の人たちを巻き込むことによって、
希薄になった地域のコミュニケーションを活性化させるのが、
ちかけん流まちづくりのやり方です。

2007年から関わる熊本の「みずあかり」でも、
彼らが手掛けるのは、竹あかりデザイン企画、制作指導まで。

準備は町の人総出で行います。

「竹は2~3カ月もするとカビたりくすんだりしてしまうので、
年に一度の祭のためには、毎年作り直さなくてはなりません。
だからこそ毎年、地域の人たちが顔を合わすきっかけになるんです。
同じベクトルに向かって作業すると、自ずと結束固まりますでしょ」

こうして地域の人たちによって作られた竹あかりの灯す光は、
人々の結束をも照らし出すかのように輝きます。

私たちも竹あかりの制作体験をさせてもらいましたが、
これが思いのほか楽しくてハマってしまう作業でした。

汗水かきながら作った竹あかりに光が灯ると、
感動もひとしお。

人々の結束意識が高まるというのも分かる気がします。

こんな彼らの活動は、熊本・九州にとどまることなく、
京都、南丹灯りの祭典や、

表参道のイルミネーションなど、全国に広がっています。

「できるだけその地で採れる竹を使うようにしています。
里山の竹林は、間伐してあげないと生態系を壊してしまうので」

まさか、彼らの取り組みに、
環境保全の意味合いも含まれているとは驚きでした。

もともと人の手によって植えられた竹林。
竹が増えすぎた林は、新しい竹が生える際、
田畑や杉・ひのきの山に侵食してしまうようなのです。

こうならないよう間伐をして、適正な竹林を保たなければ、
毎年、タケノコも育たなくなってしまうのだそうです。

この間伐材の幹の部分を竹あかりに利用するわけですが、
細い幹や笹の葉の部分は堆肥として生まれ変わり、
農業用に利用されます。

そして、竹あかりで役目を終えた竹も、
竹炭・竹酢液として再利用。

彼らの取り組みは、まちづくりを促すのみならず、
竹林の再生と環境循環を実践しているわけです。

もともと同じ大学の同じゼミで出会った二人。
問題意識もノリも似ているそう。

「楽しいと思ったことは、何でもやってしまうんです。
引っ越しから政治家の討論会の企画・運営まで。
ビジネスとそれ以外を切り分けなくちゃいけないんですけどね(笑)」

好奇心に突き動かされる彼らの活動が、
社会に大きなインパクトを与え始めています。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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