MUJIキャラバン

飲む野菜の酢「SURARA」

2012年06月20日

浅間山の山懐に抱かれた佐久(さく)市は、長野県屈指の米どころ。
この地では、八ヶ岳の伏流水とその冷涼な気候を利用した酒造りが
昔から盛んに行われてきたそうです。

今回は、1887年創業の「芙蓉酒造」さんを訪ねてきました。

酒蔵ではお酒造りの真っ最中ですが、
お酒造りは寒い冬に行うものだったはず。

伺ったところ、

「日本酒は低い温度でゆっくりと発酵させていくものですが、
焼酎は暖かい中でも造れるんですよ」

と教えてくださいました。

確かに東北地方では日本酒が多く、九州地方では焼酎が
多く造られていますものね。

蔵を見せていただくと、長いも、ねずみ大根、
レタス、かぼちゃ、えのきだけ…などと書かれた樽がたくさん。

お芋以外の「野菜焼酎」って、
ありそうでこれまでに出会ってこなかったものです。

お酒造りは、原料によって必要な免許が違ってくるようで、
野菜を使った焼酎を造れる酒蔵は数少ないんだそう。

その情報は口コミで広がり、芙蓉酒造さんでは、
信州で採れた地の野菜を使った焼酎造りをはじめ、
全国の特産物を使った焼酎も委託製造されているそうです。

さて、これまでにも何軒か酒蔵さんにお邪魔してきた私たちですが、
やはりまだまだ分からないことが多いお酒造り。

すると、
「僕ももともと素人でしたから。そもそも飲料には…」
と、黒板を使って丁寧に説明くださりました。

教えてくださった、企画開発部部長の依田さんは、
もともと東京で音楽業界の仕事をしていたそうですが、
4年前に実家に戻り、お酒造りを始められたそう。

そして、彼が1人で企画・開発・製造を手がけるのが、
Found MUJIを扱う店舗で販売中の
「飲む野菜の酢SURARA」なんです。

レタスは清涼感があり、かぼちゃはほっこりと甘く、
えのき茸はまろやかな味わいが魅力です。

いろいろな種類の焼酎が増えてきて、
それを何かに活かせないか…というところから
考案されたのがお酢造りだったといいます。

「負けん気が強いんで、手ぶらで実家に帰るのは嫌だったんです」

と依田さん。

東京で働きながらも、週末に情報収集を重ね、
3年間の研究を経て、2011年7月に発売したのがこの飲む酢でした。

お酢造りの工程は、途中までお酒造りのそれと同じだそうですが、
全国的に見ても、酒蔵がお酢を造るのは珍しいのだそう。
それよりも、むしろタブーとされてきたんだとか。

「初め、お酢造りの構想を父親に話したら、猛反対を受けました。
他の周りの人からもバカか…と言われましたね」

さらに、お酒業界は情報流通があるようなのですが、
お酢業界には情報の流通があまりないのだそう。

「お酢造りについて、聞く相手がいなかったのが一番大変でした」

業界の常識を打ち破ってまでSURARAを生み出した依田さんには、
並々ならない信念を感じました。

"お酢を楽しく飲んで、健康で軽やかな人生を過ごして欲しい"
というコンセプトのSURARAは、
ドリンクとして飲むほかに、料理の調味料としても、
もちろんお酒と合わせても相性バツグンだそう♪

永年培われてきた技術を活かして、新たなコトに取り組む姿勢。
モノづくりだけでなく何事にも、参考にできるヒントではないでしょうか。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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