Found MUJI 信州 夏 〜森へ行こう〜
今回の舞台は、「神の降り立つ地(神降地)」とも称される、
日本屈指の山岳景勝地である上高地。
長野県松本市の無印良品松本パルコ店で行われている、
ワークショップに参加してきました。
その名も「Found MUJI 信州 夏 〜森へ行こう〜」という企画。
無印良品松本パルコ店では、今春から
「食」をテーマに春・夏・秋・冬と季節ごとのワークショップを開催し、
信州の文化やものづくりを見つめる活動をはじめていて、
去る7月27日(土)に夏の企画が実施されました。
※「Found MUJI 信州 春」のレポートはこちら
朝、参加者の皆さんが松本市内に集合し、バスに乗って上高地へと向かいます。
日本の貴重な"風景の財産"として、国内でも希有の、
特別名勝・特別天然記念物の2つの称号をもつ上高地では、
環境保護のためにマイカー規制がされており、
途中で専用のマイクロタクシーに乗り換えです。
しかし、ここで早速ハプニング。
いきなりの大雨
。
「女心と同じで、山の天気は変わりやすいですから(笑)」
なんてスタッフが冗談を飛ばしながら、
上高地バスターミナルに到着すると、見事に雨は止んでいました。
さぁ、いよいよ大人のピクニックへと出発です!
雨が上がったばかりの森はとても生き生きとしていて、
なんだか緑に吸い込まれそうな感覚に陥ります。
木漏れ日や霧が私たちを包み込み、
上高地への来訪を歓迎してくれているよう。
ワークショップへの参加者は約半数が県内からでしたが、
地元の方でも上高地は初めて、という人も多くいました。
参加の動機を伺ってみると、
「"森へ行こう"というフレーズを見て、そういえば前回森に行ったのは
いつだったっけと思って
」
「地元なのに上高地へ行ったことがなかったので、
地元を知るいい機会かなぁと思いました」
という声が聞こえてきました。
"灯台もと暗し"ということわざがある通り、
私たちの身の回りには、近いからこそ気付いていなかったり、
そもそも知らなかったりすることがたくさんあるものですよね。
森の中を歩くだけでも、単純に「気持ちがいい」と感じましたが、
今回は、森のプロである山岳ガイドさんにご案内いただき、
"視る、聴く、触る、嗅ぐ"といった
体全体を使って森を感じることができました。
なかでも好評だったのが、音を表現する"サウンドスケッチ"という遊び。
「花や植物の名前を伝えるのもいいんですが、
頭で覚えたものはすぐに忘れてしまうと思うんですよね。
今から目をつぶって音を聴いてみてください」
そうガイドさんにいわれて耳を澄ましてみると、
それまで聞き逃していた、風の音、鳥の声、土を踏む音などが
不思議なほど、鮮明に耳に入ってくるのです。
「音を描くって初めてやりましたが、こんなに楽しいんですね!」
「サウンドスケッチをやる前とやった後だと、
明らかに五感の使い方が変わりました」
よくクリエーターやアーティストがアイデアを練る際に、
土に触れたり、自然の中に身を置いたりするといい、
ということを聞きますが、まさにそれを実感しました。
森の中で、紙とペンさえあれば、
いや、もしかすると自然と触れ合うだけで、
誰もがクリエーターになり得るのかもしれません。
そして、忘れてはならないのが、五感のひとつである"味覚"です。
途中の休憩スポットで配られた手作りブラウニーは、
それまでの疲れが一気に吹き飛ぶおいしさ♪
じわりと広がる甘さが体を癒やしてくれました。
この頃には、朝の大雨がウソのように青空が広がっていました。
およそ2時間半のトレッキングを終え、最終地点の徳澤ロッヂに到着すると、
そこには「楡(ニレ)の木料理店」と彫られたひとつの看板が。
続いて、蝶ネクタイと白シャツの似合うウェイターさんたちが
笑顔で出迎えてくれました。
「いらっしゃいませ」
そう、ここは楡の木々に囲まれた、この日限りの森のレストランだったのです。
このワークショップのオーガナイザーである、木工作家の三谷龍二さんと、
「楡の木料理店」の料理長、坂田阿希子さんからご挨拶。
その後は、巨峰のサングリアで乾杯です!
「実は私、このお料理が目当てだったんです」
「私も!ご褒美がないと山歩きもなかなかね(笑)」
そんな会話のなか、運ばれてきたのは、
旬の地野菜を使ったスープやサラダにテリーヌ、デザートまで。
野菜のビビッドな色がとても映え、軽いのに温かみのある木の器は、
三谷さんや、地元の作家さんが作ったものでした。
素材の味が生かされた絶品料理の数々は、筆舌に尽くし難いものでしたが、
あの食事の時間が、かけがえのないものだったのは、
その場所が2時間半自分たちの足を使ってたどり着いた、
大自然の中だったからかもしれません。
雲の流れや雨足に不安を抱きながら、
上高地という自然を舞台に行われた、今回の「Found MUJI 信州 夏」。
雨も、風も、木も、葉も、そして私たち人間も、
自然の中で生きている。
そんなことを感じたワークショップでした。
次に上高地へ出掛けたとしても、
そこにあるはずの森のレストランは存在しない。
ひょっとすると私たちは幻の時間を満喫していたのでしょうか 。
※なお、ワークショップの様子は、
下記より、YouTubeの動画をご覧いただくことができます。
また、無印良品松本パルコ店では、同動画とともに、
当日使用したFound MUJIアイテムの展示と一部販売が行われています。