MUJIキャラバン

Found MUJI 信州 夏 〜森へ行こう〜

2013年08月14日

今回の舞台は、「神の降り立つ地(神降地)」とも称される、
日本屈指の山岳景勝地である上高地。

長野県松本市の無印良品松本パルコ店で行われている、
ワークショップに参加してきました。

その名も「Found MUJI 信州 夏 〜森へ行こう〜」という企画。

無印良品松本パルコ店では、今春から
「食」をテーマに春・夏・秋・冬と季節ごとのワークショップを開催し、
信州の文化やものづくりを見つめる活動をはじめていて、
去る7月27日(土)に夏の企画が実施されました。

※「Found MUJI 信州 春」のレポートはこちら

朝、参加者の皆さんが松本市内に集合し、バスに乗って上高地へと向かいます。

日本の貴重な"風景の財産"として、国内でも希有の、
特別名勝・特別天然記念物の2つの称号をもつ上高地では、
環境保護のためにマイカー規制がされており、
途中で専用のマイクロタクシーに乗り換えです。

しかし、ここで早速ハプニング。
いきなりの大雨…。

「女心と同じで、山の天気は変わりやすいですから(笑)」
なんてスタッフが冗談を飛ばしながら、
上高地バスターミナルに到着すると、見事に雨は止んでいました。

さぁ、いよいよ大人のピクニックへと出発です!

雨が上がったばかりの森はとても生き生きとしていて、
なんだか緑に吸い込まれそうな感覚に陥ります。

木漏れ日や霧が私たちを包み込み、
上高地への来訪を歓迎してくれているよう。

ワークショップへの参加者は約半数が県内からでしたが、
地元の方でも上高地は初めて、という人も多くいました。

参加の動機を伺ってみると、

「"森へ行こう"というフレーズを見て、そういえば前回森に行ったのは
いつだったっけと思って…」

「地元なのに上高地へ行ったことがなかったので、
地元を知るいい機会かなぁと思いました」

という声が聞こえてきました。

"灯台もと暗し"ということわざがある通り、
私たちの身の回りには、近いからこそ気付いていなかったり、
そもそも知らなかったりすることがたくさんあるものですよね。

森の中を歩くだけでも、単純に「気持ちがいい」と感じましたが、
今回は、森のプロである山岳ガイドさんにご案内いただき、
"視る、聴く、触る、嗅ぐ"といった
体全体を使って森を感じることができました。

なかでも好評だったのが、音を表現する"サウンドスケッチ"という遊び。

「花や植物の名前を伝えるのもいいんですが、
頭で覚えたものはすぐに忘れてしまうと思うんですよね。
今から目をつぶって音を聴いてみてください」

そうガイドさんにいわれて耳を澄ましてみると、
それまで聞き逃していた、風の音、鳥の声、土を踏む音などが
不思議なほど、鮮明に耳に入ってくるのです。

「音を描くって初めてやりましたが、こんなに楽しいんですね!」

「サウンドスケッチをやる前とやった後だと、
明らかに五感の使い方が変わりました」

よくクリエーターやアーティストがアイデアを練る際に、
土に触れたり、自然の中に身を置いたりするといい、
ということを聞きますが、まさにそれを実感しました。

森の中で、紙とペンさえあれば、
いや、もしかすると自然と触れ合うだけで、
誰もがクリエーターになり得るのかもしれません。

そして、忘れてはならないのが、五感のひとつである"味覚"です。

途中の休憩スポットで配られた手作りブラウニーは、
それまでの疲れが一気に吹き飛ぶおいしさ♪
じわりと広がる甘さが体を癒やしてくれました。

この頃には、朝の大雨がウソのように青空が広がっていました。

およそ2時間半のトレッキングを終え、最終地点の徳澤ロッヂに到着すると、
そこには「楡(ニレ)の木料理店」と彫られたひとつの看板が。

続いて、蝶ネクタイと白シャツの似合うウェイターさんたちが
笑顔で出迎えてくれました。

「いらっしゃいませ」

そう、ここは楡の木々に囲まれた、この日限りの森のレストランだったのです。

このワークショップのオーガナイザーである、木工作家の三谷龍二さんと、
「楡の木料理店」の料理長、坂田阿希子さんからご挨拶。

その後は、巨峰のサングリアで乾杯です!

「実は私、このお料理が目当てだったんです」

「私も!ご褒美がないと山歩きもなかなかね(笑)」

そんな会話のなか、運ばれてきたのは、
旬の地野菜を使ったスープやサラダにテリーヌ、デザートまで。

野菜のビビッドな色がとても映え、軽いのに温かみのある木の器は、
三谷さんや、地元の作家さんが作ったものでした。

素材の味が生かされた絶品料理の数々は、筆舌に尽くし難いものでしたが、
あの食事の時間が、かけがえのないものだったのは、
その場所が2時間半自分たちの足を使ってたどり着いた、
大自然の中だったからかもしれません。

雲の流れや雨足に不安を抱きながら、
上高地という自然を舞台に行われた、今回の「Found MUJI 信州 夏」。

雨も、風も、木も、葉も、そして私たち人間も、
自然の中で生きている。

そんなことを感じたワークショップでした。

次に上高地へ出掛けたとしても、
そこにあるはずの森のレストランは存在しない。

ひょっとすると私たちは幻の時間を満喫していたのでしょうか…。

※なお、ワークショップの様子は、
下記より、YouTubeの動画をご覧いただくことができます。
また、無印良品松本パルコ店では、同動画とともに、
当日使用したFound MUJIアイテムの展示と一部販売が行われています。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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