MUJIキャラバン

美人になる野菜、ルバーブ

2014年07月09日

「ルバーブ」という野菜をご存じですか?

肉食中心の欧米では、食物繊維を摂取するために、
食卓に欠かせない野菜として好まれています。

野菜といっても、ジャムに多く用いられるなど、使われ方は果物のよう。
パイにするととてもおいしいことから、「pie plant」とも呼ばれているそうです。

そんなルバーブは、寒冷地に育つ作物で、
日本では長野や北海道で育てられています。

大正時代に、避暑地を求めて野尻湖(長野県信濃町)を訪れた
外国人宣教師によって伝えられ、栽培が始まったといわれています。

6月上旬に野尻湖を訪ねると、そこには
大きな葉っぱを一面に広げるルバーブ畑の光景が広がっていました。

「年に数回、追肥するだけで、春と秋の2回収穫できる多年草です。
冬の間は雪の下で眠っているのですが、雪が解けるとまた大きくなるんです。
ルバーブの生命力には驚かされますよ」

野尻湖畔でルバーブを育てる
信州黒姫高原ファミリーファームの農家さんが教えてくださいました。

かつて、株分けして各家に植えられたことにより、
今でもこの辺りのほとんどの農家で栽培されているそうです。

ただ、昔はその使い道が分からず、
ましてや名前すら定かではなかったんだとか。

そんな折、ブルーベリーに代わる信濃町の特産品を発信しようと、
注目を浴びたのがルバーブでした。

「昔、住んでいたオーストリアでは、当たり前のように食卓に並んでいたルバーブ。
信州にそんななじみある野菜があるのであれば、使わない手はないと思いました」

そう話すのは、野沢温泉村で
「ホテルハウスサンアントン」を営む、片桐逸子さんです。

風情ある温泉街に、良質な泉質の湯が湧く日本屈指のスキーリゾートには、
冬季には多くの観光客が訪れます。

ただ、どうしても来訪者が落ち込んでしまう夏季に、
なんとか雇用を生み出すことができないかと、片桐さんが考えたのが、
信州産の農産物を生かしたジャムやジュースなどの加工品でした。

「長野の夏には、たくさんのおいしいフルーツがあるんですよね。
一度にたくさんは作れないけど、
少しずつでも多品種のものを作っていけば、仕事もなくならない」

もともと山菜加工場として使用していた食品工場を使って、
職人たちとジャムづくりをスタートしました。

現在、ハウスサンアントンが手掛けるジャム・ジュースは50種類以上。
そのほとんどが、信州産の農産物を使ったものです。

なかでも上述のルバーブは、繊維質が豊富で、
ビタミンCやカリウム、カルシウムも多い健康野菜。

「食べるとお通じが良くなり、デトックスできる
"美人になる野菜"とも呼ばれているんですよ」

ハウスサンアントンでのジャムづくりは、
オーストリア仕込みの手づくり製法です。

ポイントは、高温で、短時間で仕上げること。
素材感とルバーブのみずみずしさを残すことができるそう。

実際に、できたてほやほやのジャムを
ヨーグルトに混ぜてコンポートとともにご賞味させていただくと、
さわやかな酸味と香りが口いっぱいに広がりました。

「どんなフルーツにも固定観念を持たずに、
その時の素材の味を引き出すよう心掛けているので、毎年味が違うんですよ。
ほら、ワインだってそうでしょ」

片桐さんは、ルバーブのジャムは
月日を置いた方が、味が丸くなると話します。

仕込んだ年ごとのジャムを味わわせてもらうと、
年を経るごとに、確かに味がまろやかに…。

ジャムを食べているというよりも、
果実をそのまま食べているような感覚です。

こうしてスキーのオフシーズンにも、野沢に雇用を生み出し、
信州産の農産物に光を当て続ける、ハウスサンアントンのジャム&ジュース。

ホテルのお客様の朝食にジャムを提供するほか、
夕食の料理やホテル併設のカフェで販売するジェラートにも使用されるなど、
うまく循環していっていました。

信州の自然と、オーストリア仕込みの技が生み出した味は、
Found MUJI取り扱い店舗および、
7月11日(金)~20日(日)の10日間限定で販売予定の、
Found MUJI Market」でもお買い求めいただけます。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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