MUJIキャラバン

大切に使い続けるモノ

2012年06月29日

島独自の文化・芸能の伝わる佐渡島では、
ものづくりにおいてもいくつか興味深いものがありました。

まずは、相川で見つけた「無名異焼」。

「むみょういやき」と呼ばれるこの焼物は、
佐渡金山採掘の際に出土した、無名異と呼ばれる赤土を使った陶器。

かつてこの赤土は漢方薬として服用したり、止血剤として使われていたようです。
ある意味、体にいい焼物と呼べるかもしれません。

この土をものすごく細かいふるいにかけて、
非常に粒子の細かい土だけを使って焼き上げるため、
焼き上げると3割くらいに縮むそうです。

その分、非常に硬く仕上がっています。

酸化鉄を含むこともあって、叩くとキーンという金属音が響くんです。
使いこんでいくと、表面のざらつきがなくなって、つやが出てくるそう。

「使えば使うほど、それに応えていってくれる焼物ですよ」

窯元の人が、そう教えてくださいました。
長く付き合うほど、愛着が湧いていきそうな逸品です。

続いて、「裂織(さきおり)」。

これは一見、お洒落な新商品のように見えますが、
実は、古くなった布を再利用した織物なんです。

かつて寒冷のため、綿や絹の繊維製品が貴重であった東北や北陸では、
衣類や布団の布などを裂いて、麻糸などで織り直し、
また別の衣類や敷物といった生活用品に作り変えました。

裂織の衣類は、丈夫で風を通さないため、
夏は稲のイガが体に刺さらないように、冬は漁師の防寒用にと、
佐渡では仕事着として大変、重宝されたそうです。

「ネマリバタ」と呼ばれるこの織り機で、
トントンと打ち込んで織られるため、しっかりとした布が出来あがります。

デザインもこの通り、
古い布の風合いを残しながらも、味わいがあります。

こうして古くなった布が、また新しい形になって息吹を取り戻します。

どれも温かみのあるもののように感じるのは、
生活に使われてきた布の風合いからくるものなのでしょうか。

貴重だった布を、何度も繰り返し使えるようにと、
物を大切にする昔の人たちの生み出した技ですね。

「無名異焼」に「裂織」。

あるモノを無駄にしないで使い続けるという、
佐渡の先人たちの知恵は、
現代においても大いに活かしていけるものだと感じました。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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