天領、日田のものづくり
日田の市街地に、古民家を利用した形の、
ひと際洗練されたショップがありました。
Areas(エリアス)。
既にそこから地域密着型を感じるネーミングです。
店内は、日田の家具・雑貨を中心に、
国内外よりセレクトされたグッズであふれていました。
一品一品が何か語りかけてくるような、
そんな雰囲気すら感じます。
ショップを運営するのは(株)hi-countの仙崎さん。
大学卒業後、デザインをする仕事をしたいと、地元の北九州を離れ、
恩師に薦められた日田の家具メーカーへと就職。
かつて幕府の天領として治められていた
日田のものづくりの魅力の虜になった仙崎さんは、
2006年、日田でデザイナーとして独立します。
その後、日田の職人たちと、家具や小物を創作していき、
2009年、念願のショップをオープンさせました。
ゆえに、ショップで扱うものは、
すべて想いを込めて作られたものばかり。
各種家具をはじめ、
日田産の杉を使った「杉玉ペンダント」(ライト)や、
同じく日田産の檜を使ったアロマの香る
「てる坊のおにいちゃん」まで。
「日田には家具から木工細工、畳、焼物
と、
ここまで職人がいる町も珍しいんじゃないですかね。
彼らと日田産の素材を使ったものづくりをすれば、
自ずとそれが個性・ブランドにつながっていくと思います」
仙崎さんがこう考えるようになったのは、
北欧家具に出会ってからだったといいます。
寒い北欧で、家の中を快適な空間にするために追求された結果が、
世界で人気を誇る北欧家具なんだとか。
「北欧家具はあくまでも一例ですが、
その土地の風土や歴史に必ずものづくりのルーツがあるわけで、
各地でこうした動きが活発化していけば、
各地の個性が表れたものづくりができると思うんです」
そう話す仙崎さんの店内には、約300年続く窯元、
小鹿田焼とのコラボ商品もありました。
これぞまさに、ここでしか作れない商品の一例です。
なかには、こんなに器用な商品もありました。
ステンレス製の指輪のなかに、曲げ木が施されているんです。
これを作るのも、日田市内に工房を構える「ウッドクラフト かづ」さん。
特別に工房へお邪魔すると、そこには
良いものづくりに対する飽くなき探求心を持った職人たちの姿がありました。
どれも寸分のズレも許さない丁寧なものづくり。
また、ここは他社が面倒と感じる曲げ木にも積極的に取り組み、
今や卓越した木を曲げる技術を習得しています。
代表の宮原さんいわく、管理せずとも
職人たちは自らの意思で追求・改善を求めるようです。
「この、より良いものづくりに対する姿勢こそが、
日本と他国とのものづくりの違いではないかと感じます」
最後に、仙崎さんはこう話してくれました。
「伝統は守るものではなく、進化するもの。
日田の伝統技術を活かしながら、
現代の生活様式に合わせたものづくりをしていきたいですね」
その力強い視線の先には、
日田のものづくりの未来が見えているような感じさえ受けました。
ここにもまた、その地に根ざして生きる人たちの姿がありました。