旅路の果てに
2012年4月1日、青山の「Found MUJI」からスタートを切った、
『MUJIキャラバン~日本全国の良いくらしを探す旅~』。
ちょうど1年後の先月末、47都道府県を巡り、無事に旅を終えました。
総走行距離2万9203km。
キャラバンカーも不具合を起こすことなく、よく走ってくれました。
各都道府県1週間(北海道だけ2週間)という滞在期間のなか、
それぞれの風土に根ざした「良い物」や「良い食」などについて取材して回りましたが、
巡り合えた方たちの数は650人近くにも上る、壮大な旅となりました。
日々、動き回っていくなかで、巡り合えた方たちとのご縁に、本当に感謝です。
思えば、この日本一周の前には、夫婦で果たした世界一周の旅がありました。
「海外で受け入れられている日本文化を見つけ発信する=COOL JAPAN」
「日本が学ぶべき海外の文化を見つけ発信する=BOOM JAPAN」
と称し、夫婦それぞれのテーマで40カ国を巡った世界一周の旅。
海外から日本は一定以上の評価を受けている半面、
正しい日本が伝わっていないことに対するもどかしさを覚えたことを思い返します。
同時に、私たち自身もどこまで日本について知っているのか
。
そんな想いから、今回の企画へとつながっていったわけです。
この旅では、以下のようなテーマを持って、
その土地らしさを見つけて回りました。
「同じようで違うもの、違うようで同じもの」
世界から見れば極小の島国、日本ですが、都道府県で数えて47カ所、
実際に各県に入ってみると、県内でも東西南北の地域によって文化や産業が異なり、
実に多様な「同じようで違うもの」にあふれていました。
その種類は、醤油、味噌、酒、野菜、焼物、縁起物など
上げれば切りがありません。
何も海外に頼る必要はない。
そう感じるほど、高品質でキメの細かいものばかりでした。
それらの多くは、その地で代々、引き継がれてきた技術を用い、
時代に合わせて"改良"を重ねてきた人たちの手によって作り出されているものです。
そして、それをまた後世につないでいこうと努めています。
そこには、地域の人と人とが手を取り合って、自然環境を大切にしながら、
決して無理をせずに、前向きに取り組んでいる姿がありました。
この人と人、人と自然、過去と未来を有機的につないでいこうとする姿勢こそが、
この旅路で見つけた「違うようで、同じもの」でした。
日本には四季があります。
1年というくくりで回ったこの旅路のあいだにも、
春になれば桜の開花を喜び、秋には紅葉を楽しむといった、
季節の移ろいを感じる日々でした。
常夏やツンドラの地域では味わえないようなこの風土は、
日本人の精神性を生み出している一つの要素のように感じます。
そのため、同じ「青」でも、日本の伝統色には60の色彩があるほど、
同じ「箸」でも、男箸、女箸、子供箸と大きさや形状が異なるほど、
昔から日本人には、この"微差"を楽しめる感覚が備わっているのではないでしょうか。
そして、この"微差"を生み出しているのは、紛れもなく、
各地の風土であり、不断の努力を惜しまない職人たちの追求する姿勢です。
各地に残る「同じようで違うもの」を尊び、楽しんでいくこと。
この多様性を認め合えることが、日本らしさなのだと感じました。
過去から現在へと続く、そこにしかない魅力。
それが磨かれていけば、日本はきっともっとおもしろい。
これからも私たちは、それを丁寧に見つめ直し、
発信していく活動を続けていきたいと思います。
まずは、自分たちもどこかの地域に根ざしながら 。
ブログをご愛読いただいてきたみなさま、これまで誠にありがとうございました。
旅ブログとしてはいったん終わりですが、今後も「MUJIキャラバン」として
各地の魅力を発信するブログは続いていきますので、
引き続きどうぞよろしくお願い致します。