無印良品のシール織り
和歌山県では、無印良品 ガーデンパーク和歌山を訪れました。
「待っていました!」と店長に連れられて向かったのは、寝具コーナー。
「これ、和歌山県で作られているんですよ!!!」
そういって見せてくださったのは、「綿シール織毛布」でした。
この毛布は日本の中でも和歌山県の高野口地区だけで、
昔ながらの製造方法で作られているものなんだそう!
高野口とは、弘法大師空海が修行の場として開いた高野山の麓。
私たちも週末に、プチ修行体験に出掛けていた場所でした。
既に通ってきてしまった後で、
この旅路では取材に訪れることができない場所で残念がっていると、
「こうやって手作業でよこ糸を引き抜くんですよ」
と、店内でまさかの実演を見ることができました。
実は、昨年10月に近畿エリアのスタッフのみなさんで、
高野口の綿シール織毛布の生産現場に、実際に足を運んでいたのでした。
シール織りとは、SEAL(アザラシ)の毛皮のようにふわふわとした風合いの織り方で、
両面のパイル糸がしっかりと挟み込まれて織られていて、
パイル糸が抜けにくい構造になっているといいます。
シール織りの歴史は明治時代の初めに、
シール織りのルーツとなる再織(さいおり)という特殊織物の製法が
高野口に住む前田安助氏によって創案されたことに始まります。
再織は世界的にもチェコスロバキア以外に類のない手工業的技術の特殊織物で、
当時の外国商館からカーテンやテーブルクロスなどの注文を受け、
アメリカに輸出して好評を博していたとか。
その後、大正時代に研究が繰り返され、シール織物が考案されて、
量産可能な機械化にも対応するように。
とはいえ、生産工程には、手作業の部分が多分に残っています。
よこ糸を引き抜く作業は熟練の職人さんが2人ペアで、
息の合ったテンポで行うそうです。
1本でも抜き漏れると、スジになってしまうので、
集中力と腕力が必要なことの想像が容易につきます。
私たちも店舗で体験させてもらったのですが、
なかなか力のいる作業で、均等に引き抜いていくのは至難の技でした。
表面は機械的に毛羽立たせた起毛ではなく、
糸の撚り(より)を糸に傷がつかない掻き方でブラッシングしてほぐしていくので、
肌触りが抜群! ふんわり綺麗に仕上がることから"花を咲かす"と呼ばれるそうです。
起毛の場合は掻きだすので、
綿だと洗濯後の形状変化や毛羽落ちの問題が出てしまうのですが、
シール織りは使用中に毛玉にもなりにくく、
洗濯を重ねても、毛羽落ちしにくいという優れた特長があるそうです。
裁断も機械ではなく手作業で、
2人組で目視検品しながら行うので、ほとんどのキズなどはこの工程で止められ、
仕上がりがキレイなのはこのためでした。
実際に生産現場へ行ったスタッフからは、以下のような感想が挙がっていました。
「当たり前のように無印の店頭に並んでいると感じていた商品が
『大工場』による『大量生産』でなく、
『職人の手仕事』により『一つひとつ丁寧に作られている』
という事実に改めて驚き感動した」
「国内生産、地場産業により地域の歴史と伝統の継承、
雇用促進、経済活動へつながっていることを知った」
「一つひとつの商品には作り手の想い、愛情、熱意が込められており、
それをそのままの温度でお客様へお伝えしていければ
」
シール織り毛布のよこ糸抜き体験にご興味ある方は、
無印良品 ガーデンパーク和歌山のスタッフさんにお声がけしてみてください♪