その日しか食べられない団子
山形県北東部にある大石田町(おおいしだまち)を車で走っていると、
人気のほとんどない町で、
突如行列のできるお店に出くわしました。
そこは「横丁とうふ店」というお豆腐屋さん。
気になったので、私たちも車を止めて列に並ぶと、
みなさん注文しているのは、お豆腐ではなく、お団子です。
確かにお豆腐の陳列もありますが、
ここのお団子はお豆腐で作られているのでしょうか?
話を聞いてみると、この地域では
お豆腐屋とお団子の組み合わせは珍しくないんだとか。
お豆腐づくりの過程で、大豆を蒸かす際に
お米も一緒に蒸かすようになり、
それをお団子にするようになったといいます。
同じエネルギーで、2つの商品ができてしまうのは
一石二鳥、素晴らしいことですね。
また、店内にはこんな看板や注意書きやがありました。
「一本からでもお作り致しますから
本日中に召し上がる分だけお買い求め下さい」
つまり、贈り物やお土産には不向きなお団子なのです。
多く買わせようとするのではなく、
"本物の味を提供しよう"という食品づくりの基本を実現されています。
でもこれは、商売をするうえでは案外実現できていないことかもしれません。
12年前にデパートのフェアで販売した際、
「いつまでもつの?」というお客さんの質問に、
「明日には確実に硬くなります。今日中にお召し上がりください」
と正直に答えたところ、それでも
「本物だから仕方ないわね
」
と1日のうちに1000本以上が売り切れ、
『最上川千本団子』という名称になったんだそうです。
作り置きではなく、注文してから作られるそのお団子は、
ふわふわモチモチで柔らかい!
また、お団子の原料であるお米はもちろん山形県産、
「くるみだんご」(写真上)は地元産のくるみを、
「ずんだんだんご」(写真下)は地元産の枝豆を使用されています。
昨今はインターネットや物流の発達により、
自宅にいながらも全国のグルメやスイーツが味わえてしまう時代ですが、
そこに行かないと食べられない、
作り立てだから美味しい、
もしかすると、それが本来の食のあり方なのかもしれないな
そう感じました。
納豆汁を作ろう!
山形といえば、
さくらんぼに、
玉こんにゃくが有名ですが、実は「納豆」の消費量が高い
って知っていましたか?
スーパーには山形県産の納豆が多数並び、
"塩納豆"や"南蛮納豆"なんていう、
これまでに見たことのない納豆もありました。
また、家庭料理にも納豆は頻繁に登場するそうです。
例えば、山形でお餅を食べる時には、「納豆もち」が一般的なんだとか。
納豆好きの私たちですが、これまで納豆とお餅の組み合わせは
食べたことがありませんでしたが、おいしい!
次に、山形県の内陸部で食べられているのが、
つゆに納豆と卵、サバ缶などを入れて食べる
「ひっぱりうどん」「ひっぱりそうめん」。
それから、冬の定番料理のひとつが「納豆汁」。
昔から消化が良く体が温まる汁物として親しまれ、
山形では、大みそかや1月7日に七草粥の代わりに
納豆汁を食べる習慣があるといいます。
今回は季節はずれというのと、各家庭で作られているものとあって、
なかなか巡り合えないなか、
酒田市にあるちゃんこ鍋屋「北の富士」さんの料理長にご協力いただき、
「納豆汁」の作り方を教えてもらいました!
材料はこちら。
納豆に、厚揚げ、なめこ、月こんにゃく、山菜、せり。
(季節や家庭によって材料は異なります)
調味料はだし汁、味噌、酒、醤油。
材料がそろったら、まずは納豆にお酒を少々加え、
すり鉢でよくすります。
(すり鉢がない場合は、包丁で細かく刻んでもいいそう)
続いて、だし汁に納豆以外の材料を入れて煮ます。
具材が柔らかくなったら、お味噌と醤油少々で味付け、
最後に納豆を入れます。
(納豆を入れる際に、煮汁でゆるめて溶かし入れるのがポイント!)
器に入れて、お好みでせりやネギをのせたら出来上がり!
とっても簡単です♪
食べてみると、少しとろみがあり、
食べているうちに早速、体がぽかぽかしてきました。
「雪道と納豆汁は後の方がいい」という言葉があるそうで、
降り積もった雪道は、誰か先に歩き踏み固まった後の方が良い。
納豆汁も出来上がりをすぐに食べるよりも、
半日くらい寝かせて食べるとさらにおいしいんだそうです。
高たんぱく、低脂肪で胃腸にやさしい納豆を使用している納豆汁は、
整腸作用や肝臓障害防止にも最適のようです。
すぐに真似のできそうな、山形県の郷土料理「納豆汁」を
家庭で作ってみてはいかがですか?