MUJIキャラバン

萩・維新塾

2012年11月08日

山口県北部に位置する萩市(はぎし)は、
江戸時代に、長州藩の本拠地として栄えた都市であり、
今でも歴史の面影を色濃く残す城下町です。

萩市内の小学校では、朝の時間には、
萩出身の幕末の志士、吉田松陰の言葉を朗唱するなど、
現代においても長州藩のDNAは引き継がれています。

そんな萩市において、
現代版、松下村塾のような取り組みが始まっていました。

「萩・維新塾」

萩市が音頭をとって、萩の若者を公募し、
互いに学びあい教えあいながら、
まちづくりに参加していくという試みです。

萩市に在住、または就労している18~40歳の
意欲のある会社勤めの方や自営業者が積極的に参加したんだそう。

活動では、
萩市にある世界最小といわれる活火山「笠山」の楽しみ方を
提案するイベント「笠山プロジェクト」を開催したり、

地元の商店街の空き店舗などを活用し、
ハロウィンイベントを企画するなど、

町の活性化のために若い力が精力的に動いていました。

また、来春には維新ゆかりの町の特性を活かして、
歴史好きの女子に萩の魅力について語ってもらうイベント
「幕末・維新girl'sサミット」も企画中。

若者のアイディアと行政の推進力によって、
斬新な企画が次々と実現されていっています。

主催する萩市まちじゅう博物館推進課の畠中さんに
お話を伺うことができました。

「この活動は、長州に長く伝えられている言葉、
"草莽崛起(そうもうくっき)"の理念に則っているんです。
志があれば、誰でもまちづくりに携わることができることを知ってほしい」

"草莽崛起(そうもうくっき)"とは、吉田松陰が維新への決起を促した言葉で、
志を持った在野の人々こそが、日本の変革を担う原動力になるということ。

まちづくりを行政や商工会任せにすることなく、
地域の若者たちが参加できる仕組みを作り、
それに積極的に参加する人たちがいることは素晴らしいですね。

この萩・維新塾から、
萩の経済活性化のために独立を果たし、活躍し始めている人も出ています。

萩産の野菜をプロデュース販売する椋木(むくのき)さんもその一人。

東京のTV制作会社で勤務していた椋木さんは、
地元の活性化に取り組むべく2009年に帰郷。

低所得かつ重労働ゆえに減りゆく農家の実態に奮起し、
萩・維新塾を経て、昨年、農業分野で起業しました。

「萩にも農家の方が一生懸命、手塩にかけて育てた野菜がたくさんあるんです。
僕はそれらを仕入れ、背景を伝えながら展開し、
"萩野菜"ブランドを確立したいと思っています」

椋木さんのプロデュースする萩産野菜の棚は、
地元で一番大きいスーパーの野菜売り場の一等地にもありました。

野菜の背景にあるストーリーを伝え、新鮮なうちに適正価格で販売することで、
萩産の野菜を選び、買ってくれる地元の人も増えたんだそう。

「野菜は儲からないなんて、誰が言ったんだ!って(笑)
この事業で雇用を生み出し、若者に萩で働ける環境を作るのが、
僕なりの萩活性化策です!」

椋木さんの活動は、確実に萩活性化の一翼を担い始めています。

吉田松陰が唱え、萩・維新塾が現代に提唱する
"草莽崛起(そうもうくっき)"、
まさに、今の日本にも必要な教えではないでしょうか。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

最新の記事一覧

カテゴリー