「赤い糸であそぶ」
白地に赤というと日本の旗を思ってしまいますが、最もベーシックで私の好きな配色です。なにげない白いブラウスに赤い糸で遊べないかなあと思っていた数年前のことでした。ミラノのデザイナーの友人がすぐに現実化してくれました。
ニコレッタさんというデザイナーがこの提案をまとめてくれたのですが、彼女は元祖ムジ・サポーター・ファン。日本での無印のショップでも、出張の折にまめに寄っては感想を伝えてくれます。
2004年には「無印良品で、DIY」をやってみようと話し合い、ミラノのデザイン学生とともにdo it jibunde というプロジェクトをまとめました。日本語を使う方がカッコイイというイタリア側の主張を通して、私たちは有楽町店のアトリエで展覧会を行ったのです。
身の回りにある既製品を使って、それに自分の手で何かアイデアを加えて自分のものとする。そういう考え方が根底にあります。そしてニコレッタ先生はMUJI(無印良品)が基本的なデザインを備えていて、余計なものがないという点から選んだのだと言っています。
20世紀は工業製品の生産が始まり、発展し、研究開発されて質的にも頂点を極めようという勢いで過ごしたときであったと言えるでしょうか。21世紀になって見えてきたことは、毎日の暮らしや社会生活の中で「必要なもの」を選び取り、遺された地球の現在を持続し、より良くしていくこと。それをまさにジブンデしていくことだと思います。すでに身の回りにあるものに味わいやアイデンティティを加えていこうという提案はさまざまな地域や国々の方とともに続けていきたい方向です。
すこし堅いことを言ってしまいましたが、こう書いている私のマウスを動かす右手に巻いた赤い糸をお目に入れます。インドの友人がまた会う日までと願いをこめてくれたサイン。ヒンズー教の寺院からいただく仕合わせの印です。
ちいさなことで幸せになる至って単純な人間です。
Plan & Presentation by Nicoletta Morozzi / Lorenza Branzi