「エコカーにテキスタイルの助っ人」
ハイブリッドのエコカーを必要な時に走らせています。
都内はなるべく電車やバスで、というのも3月11日以降の生活で普通になったこと。その前からそうしようと思っていたけれど実際はついガソリン消費と便利さに傾いていたのでした。
そこでつくづくクルマの観察をしてみますと、ぜいたくな素材や仕様を期待しないで選んでいるので納得の上とはいえ細部には気になることももちろんあります。
このところ書いている主題、既成のものにひとつ手を加えるという方法をここで講じようと思いました。
ダッシュボードの上の反射が強いのです。運転者である夫が黒いタオルを置きはじめたのを見て提案。それようのテキスタイルを考えましょう、と。早速の助っ人は若いファッション・デザイナーで、服だけでなくいろいろ知りたいからと即答で協力してくれることになったのが幸運でした。
産業デザインで生まれたものに手作りのものを加えるなどということは発案者の私も悩むところです。そのデザインがそれだけで完成しているのなら何も加えないのが原則。でもコストパフォーマンスで、かなえられない難関があったとしたら、それを使う人が工夫することも可能です。
選ばれたテキスタイルは、霜降りのようにネップが飛ぶ黒茶色のウール地。そしてドライバーがかたどった「型紙」は、単純にダッシュボードのカタチをなぞったものです。それから思いをめぐらした彼は、四隅に茶色の皮を加えてとても治まりやすいカバーを作ってくれました。そしてウール地にはミシンのキルティングを施してさえいるのです。
手を加えるからには、こまかな気づきを最大に生かすことだとあらためて思いました。
ダッシュボードのカバーを作りたいと言った言葉の、この奥行きある完成品は今我が家の宝になっています。
Pattern & Sawing by YANTOR