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旬を満喫、中野市のシャクヤクの秘密

2013年05月01日

大輪のはなやかなお花が人気のシャクヤク。
シャクヤクの旬は、5月中旬からの約2~3週間だけ。
あっという間に終わってしまいます。

毎年楽しみにしているシャクヤクの旬がもうすぐ訪れます。

4月中旬、雪が解けるのを待って、長野県中野市の産地を訪ねてきました。

中野市は、シャクヤクの出荷量日本一を誇る産地。

出荷量だけでなく、すべてが日本一だよ、
と生産者さんのひとりが即答してくれるほど、品質にも自信を持っています。

昭和40年頃からシャクヤクの栽培がスタートし、もうすぐ50年。
長年の経験で培った知識を、みんなで共有し、
高品質のシャクヤクを栽培しています。

中野市のこだわりのひとつは、咲くシャクヤクを出荷すること。

シャクヤクを買ったけれど、つぼみが開かずに終わってしまった、
という経験をした方は意外と多いのではないでしょうか。

シャクヤクが咲かない原因のひとつは、つぼみに蜜がついていること、
と思われていますが、蜜は直接の理由ではありません。
蜜を洗い流さなくても、ハウスのシャクヤクはちゃんと咲いています。

咲かない原因は、切り前が早すぎること。

切り前とは、どの程度の開花状態で採花するか、ということ。
切り前が早すぎると、花が開いても小さかったり、
逆に遅すぎると、すぐに満開になってしまい、長く楽しめなかったり。

シャクヤクは、開き始めると満開になるのがとても早いし、
早く採花しすぎると咲かずに終わってしまいます。

長年の経験で培った、品種ごとに違う、最適な切り前で出荷をしています。

もうひとつの高品質の理由は、株をきちんと育てること。
植物も、きれいなお花を咲かせるためには土台がとても大切です。

まだ15cmほどの小さいときに、余計な芽を整理します。
そして、株と株のスペースをあけて定植することで、根っこがしかりと張り、
効率を優先しないことで充実した株に育ちます。

充実した株には、たくさんの花芽がつきますが、
すべてを採花するわけではありません。

そのまま育てて出荷したいところをぐっと我慢して、
半分ほどは花芽を摘んでしまいます。
よく見ると、つぼみがついていない茎がたくさん立っています。

そして足元を見ると、今朝、摘み取られたばかりのつぼみが落ちていました。
コロンとしていてかわいいですね。

植物は花を咲かせるときにいちばんパワーを使うので
つぼみのときに摘み取ってしまうことで、
株が消耗するのを避けることができます。

そのように大切に育てた株は、平均10年といわれている株の寿命を
はるかに超えて、約30年にわたって、花を咲かせてくれるのだそうです。

中野市のシャクヤクは、露地で育てているもの、加温したハウスで育てているもの、
無加温のハウスで育てているものがあります。

ほとんどが、長野の気候を活かして露地で育てていますが、
今回、お話を聞かせてくださった生産者さんは、半分以上をハウス栽培しています。

旬の忙しさがピークを超えたら、ハウスのビニールをはずします。
出荷が終わっても、肥料をあげたり、虫がつかないように消毒をしたり、
シャクヤクのお世話は続きます。

秋に葉が枯れるまで、できるだけ長い期間、葉を保たせて光合成をさせ、
根っこを育てるためです。

お花がない期間も大切にお世話をすることで
約30年にもわたって、花が咲き続けてくれるんですね。

冬になると、雪が積もり、シャクヤクの地上部は枯れてなくなります。
1月下旬になったら、再びビニールをかけます。

雪はそのままにしておくと、いつまでも残って湿気が多くなってしまうので
黒い炭の粉を撒いて、太陽の光を利用して、雪を解かします。

シャクヤクの足元の土を見ると、かなり乾燥しているように見えます。
こんなに乾燥していても、水はほとんどあげていないそうです。

なぜなら、冬に解けた雪が浸み込んでいるから。

お花の種類によっては、1日2回、水をあげることもあるそうですから、
長野県のシャクヤクならでは、ですね。

足元に落ちていたつぼみが、あまりにもかわいかったので
いただいて帰りました。

他のお花だったら、長旅の間にしおれてしまうと思いますが、
水を張ったお皿に浮かべているだけで、翌日には少しずつ開いてきました。

お風呂に浮かべておけば、バラ風呂ならぬ、シャクヤク風呂ができるよ、
と生産者さん。
シャクヤク風呂はしませんでしたが、1週間以上楽しむことができました。

充実した株のパワーをしっかり備えたお花なのだ、と感じました。

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