春が待ち遠しくなる球根植物
球根植物とは、植物の地下にある根や茎、葉の一部が翌年の生長に必要な養分を蓄え、
ふくらんだ器官「球根」をつくる植物のこと。
秋に植えて翌年の春に咲く「秋植え球根」と、春に植えて秋に咲く「春植え球根」に
大きく分けられますが、チューリップやスイセンなど、園芸では春に咲く「秋植え球根」の
種類が多くあります。
「秋植え球根」の植物は、土の中で寒さを感じることで球根が休眠状態から覚めて、
根を張り、花芽分化や、花芽・茎葉の伸長がおこなわれるようになります。
まだ草も生えない土の中から芽を出し花を咲かせる球根植物は、春の訪れを
知らせてくれているようです。
Flower MUJI にて1月限定でご紹介している球根植物の寄せ植え。
埼玉県さいたま市の生産者が育てています。
農場は見沼代用水が近くに流れ、田園が多い自然豊かなところにあります。
このあたりは夜の気温が下がりやすい気候のため、野菜は甘みが出やすく、
花は色が鮮やかに出やすいなど、植物を育てやすい気候です。
12月の下旬、農場を訪ねてきました。
年間を通じて様々な球根植物を育てているこちらの生産者さん。
この時期は、ヒヤシンスやスイセン、チューリップなど春咲きの植物で
ハウスの中はいっぱいです。
寒さを経験することで、きれいに花を咲かせる球根植物。
通常、秋にお庭やプランターに植えて育てた場合は、自然と土の中で冬の寒さを経験し、
成長を始めます。植物の種類や育てる地域にもよりますが、開花は3~5月頃です。
今回お届けするものは1~2月頃に開花をするもの。
庭に植えて育てるものより開花は早めです。
開花を早くするためには、自然環境より早く冬を経験させる必要があるため、
「低温処理」をする必要があります。
低温処理は種子や球根などを 一定期間低温にさらすこと。
つまり、人工的に「冬」の状態をつくることです。
ここでは、大きな冷蔵庫を使って低温処理をしています。
球根用の冷蔵庫の中を見せていただきました。
びっしりと積まれた黒いケースの中には、球根が植えられた鉢がびっしりと入っています。
ちょうど積み下ろしの作業中です。
10月下旬に入荷した球根を、入荷後すぐに鉢に植え、11月上旬頃に
この冷蔵庫の中に入れます。
この冷蔵庫の中で、寒さを感じた球根はじっくりと根をはります。
冷蔵庫から出すのは約1ヶ月後。
土の中で根がはれてないと、花が咲かずに終わることもあるため、とても大事な作業です。
冷蔵庫から出した鉢は、春の気候である15~16℃に保たれたハウスに移動をします。
冬から春への気温の変化と感じた球根は、葉や花芽の伸長をはじめます。
ハウスの中の一角で、少し変わった光景を目にしました。
ヒヤシンスの球根が植えられたポットの上に、厚めのスポンジを載せて、
更にその上にポットを積んだトレーが載っています。
これは何のためでしょう。
答えは球根が土から飛び出てしまうことを防ぐため。
土の中で根が成長すると、根が次第に球根を上に持ち上げて、土から出てきてしまいます。
それを防ぐために厚いスポンジで押さえているのです。
このスポンジはオランダから取り寄せています。硬さもちょうど良く、蒸れないそうです。
別のハウスでは、チューリップの鉢に水やり作業をしていました。
こちらでは、水やりや肥料は機械任せにせず、植物の様子をみて手作業で与えています。
種類ごとはもちろんのこと、同じ種類でも品種や、色の違いによっても成長の早さが異なるため、
目で確認しながら、細かく水やりや、肥料の量を変えるこだわりです。
土も、いくつかの用土から植物の性質にあったものを選んで植え込んでいます。
根がちゃんとはっているかは、開花に大きく関わること。
きれいな花を咲かせる為の、健康な根に育つよう用土にもこだわっています。
ひとつずつの作業をていねいに。
植物にきちんと向き合って育てられた一鉢です。
まだまだ寒く、家の中で過ごす時間が多くなりやすいこの時期。
球根の成長を眺めながら、ゆっくりと春の訪れを待ちましょう。
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1月限定 春を待つ球根の寄せ植え