「母の日の花」カテゴリーの記事一覧
「母の日の花」リーガベゴニアの産地を訪ねて
FlowerMUJIの母の日では、毎年の定番となっているリーガベゴニアの生産者さんを訪ねてきました。
訪れたのは4月9日。母の日の出荷まで1ヶ月をきり、これから成長具合を整えて、最終調整していくところです。
温室の中では、出荷待ちのベゴニアが整然と並んでおり、ちらほらと花が咲いてきています。
鉢同士の間隔を広げて陽をあたりやすくするスペーシングという作業が終わったところです。
こちらの生産者さんでは、この時期になると市場向けの出荷をやめて、これから母の日に出荷するベゴニアのお世話のみに専念するようになります。
株の成長する向きが偏らないように支柱をたてて矯正したり、傷んでいる葉を取ったり、お花が咲きすぎている場合は摘み取ったりします。
これらの作業を、一つ一つの株の様子を見ながら丁寧におこなっていきます。
また温度管理も肝心で、母の日の頃にちょうど良い咲き具合になるように、寒い日には温室内を温めて、暖かい日には外気をいれて涼しくしたりと細かく調整します。
こちらの花は、今年はじめて販売する品種です。ピンクと白のツートンカラーと、ちょっと変わった花の開き方が特徴です。クリスティンという品種です。
順調に成長をしていました。
このクリスティンという品種は、誕生してからまだ年数の浅い品種のため、株の状態が一様ではなく、まれに変わった形の花や葉っぱのものが出来てしまいます。
この写真のクリスティンは、葉っぱの切れ込みが通常のものよりも細かくなってしまいました。ある意味レアで貴重なものですが、このようなものは出荷されないように除けていきます。
一鉢一鉢丁寧に育てられたリーガベゴニアは、花の保ちもよくおすすめです。
定番の赤とピンクに加えて、今年はこのブログでご紹介したピンク×白(クリスティン)を加えた3色のラインアップです。
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母の日 リーガベゴニア 赤 手編みのカゴ
母の日 リーガベゴニア ピンク 手編みのカゴ
母の日 リーガベゴニア ピンク×白 手編みのカゴ
「母の日の花」あじさいの苔玉の産地を訪ねて
2014年の母の日は5月11日。
今年もFlower MUJIでは、「母の日の花」として生産者さんがていねいに育てた
様々な種類のお花をご用意しています。
この時期の恒例となりました「母の日の花」産地レポート。
今年の第一回は、「あじさいの苔玉」をつくっている生産者さんです。
伺ったのは、3月の上旬。
「あじさいの苔玉」になる、あじさいを育てている農場は、
九十九里浜のすぐ近く千葉県山武市にあります。
農場につくと、お花の生産者さんのところでは見かけない
大きなクレーンがついたトラックがありました。
これは木材を運ぶためトラック。
寒い時期にハウス内を暖めるのには、重油を燃料にした暖房を使用することが
多いのですが、ここでは木材を燃やした熱を利用して、ハウス内を暖めています。
その木材を運んできたところでした。
燃やす木材は、間伐材を使用しています。
間伐材とは、植林された森林の木々の生長に伴い、過密状態にならないよう
間引く「間伐」の過程で発生する木材です。
間伐をすることで森林内に日の光が射し込み、地面近くの植物が育ち、
1本1本の木が根をしっかり張れるようになるなど、間伐は健康な森林を
維持するために必要な作業です。
直径が細く、木材としての使用用途が少ない間伐材を、燃料として使用することで、
間伐材の消費につながっています。
あじさいの様子はどうでしょうか。
ハウスの中をのぞかせてもらいます。
あじさいは寒い冬の間は葉をおとします。
枝だけの状態で冬を越し、あたたかくなると芽を出し、葉をひろげ、花を咲かせます。
伺ったときは、葉を少しずつひろげ始めている時でした。
同じ環境で育てていても、品種によって成長のスピードは異なります。
それをお届け時期にあわせてきれいに咲かせるのはとても技術のいることです。
葉を広げている苗もあれば、
まだ芽がふき始めたばかりの苗も。
この時はまだ成長に差がありますが、お届けする時には、どれもお花が咲くよう
調節しています。
あじさいの苔玉は、卓上にも飾れるコンパクトなつくりが特徴です。
丈を抑えて、お花を咲かせるのは、毎日の細かな観察と、その観察をもとに
水やり、施肥などを調整する技術が必要。
この場所で、苔玉まで仕上げています。
ていねいな仕事がつまった、こだわりの一鉢です。
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【ネット限定】母の日 あじさいの苔玉 ピンク
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あじさいを苔玉にして、テーブルの上で楽しむ
4月初旬、あじさいの苔玉を育てている、千葉県山武市の生産者さんを訪ねてきました。
ハウスに入ると、ポットに植えられたあじさいを苔玉に仕立てているところでした。
生産者さんを訪ねるときは、作業が終わった後にお時間をいただくことが多いので
実際に苔玉に仕立てるところを見ることができるとはラッキーです。
ポットから抜いたあじさいの土を落として、伸びすぎた根っこを整理します。
慣れた手つきで、どんどん作業を進めていきます。
根っこをかなり大胆に整理をしているのですが、
あじさいの根はすぐに伸びるので問題ないそうです。
あっという間に根っこの整理が完了です。
あじさいを片手に持ったまま、苔でできた器を手に取り、すばやく植え込んでいきます。
そして、あっという間に苔玉への変身が完了です。
あじさいの苔玉を作り始めた当初は、この作業を、通常のあじさいと同じように
1月頃にしていたそうです。
今は4月に行っていますが、苔玉に植えたあじさいは十分に根が伸びるので
心配はいりません。
なぜなら、苔玉は土より密度が低く、気層(空気の層)が多いので
根の成長が早いためです。
苔玉に変身したあじさいがずらっと並んでいいます。
作業をしている方の手の大きさと比べていただくとよくわかりますが、
お花屋さんで見かけるあじさいの鉢植えとくらべると、かなりコンパクトなサイズです。
母の日までに、もう少し大きくなりますが、
テーブルの上に飾っても邪魔にならないサイズです。
せっかくのお花なので、近くに置いて楽しみたいですね。このサイズなら可能です。
コンパクトに育てる秘訣は、厳しい環境に置くこと。
説明するのは簡単ですが、このサイズに育てるのはなかなか大変です。
そろそろ母の日の出荷がピークを迎えますが、
同時に来年の母の日の準備もスタートしています。
4月末に挿し木をして、6月にポットへ植え替え。
11月から2月は、75日間以上、低温にあてることが重要です。
自然環境と同じように、冬は寒い環境に置くことで、春に花芽がつくのです。
あじさいの台の下にはビニールが敷かれています。
これは、水やりをした水がゆっくりと抜けるようにするため。
あじさいは水を多く必要とする植物ですし、
だんだん気温が高くなると、葉から蒸散する水の量も増えます。
水やりの方法ひとつとっても、生産者さんによって違います。
それぞれの経験とこだわりと、愛情をもって育てているのです。
母の日に、いちばんよい状態でお届けできるように
約一年間、様子を見ながら育てていますが、
それでも予想ができない天候の変化によって、お花の成長スピードが左右されてしまいます。
そのため、無加温、温度が高め、温度が低めの3種類のハウスで育て、
必ずよい状態でお届けできるように準備をしています。
ご注文いただいた皆様、お届けまでもう少し、楽しみにしていてくださいね。
母の日クレマチスの産地を訪ねて
母の日の出荷を間近に控えたクレマチスの生産農家を訪問してきました。
クレマチスに限らず母の日のお花を生産している農家さんにとって、4月は悩ましい時期です。
お花の出荷はゴールデンウィークに合わせて始まり、母の日の数日前まで続きます。
そのタイミングにあわせてお花が咲くように調整を行うのですが、
4月は意外と天候が安定しなくて、特に今年は暑くなったかと思うと次の日には冬の気温になったりと、
温室内の温度調整で苦戦をしています。
大変な苦労をしながらも、さすがにばっちりと開花のタイミングをあわせて、
全国のお母さんに喜んでもらえるお花ができあがります。
クレマチスの温室内です。
鉢の下の鉄パイプには水が貯まっていて、鉢の下から水を吸い上げる底面給水式で栽培しています。
クレマチスはもともとは湿地など水分を多く含む土壌で自生していたことから水を好みます。
なので水を切らさないように底面給水式で育てています。
前回ご紹介したカーネーションの生産者さんはひとつひとつ手で水をあげていました。
水をあげすぎると根がしっかりと張らず弱いカーネーションに育ってしまうからです。
植物の種類によって育て方もさまざまで、皆様それぞれの経験とこだわりの栽培方法があるのです。
決して面倒くさいから底面給水にしているのではありません。
出荷前に、クレマチスの蔓を巻きつけているところです。
ひとつひとつ手作業です。
この作業をしないと、蔓が伸び放題になってしまい、見た目も不ぞろいですし、
お届け中の箱の中で蔓が当たって傷みやすくなってしまいます。大切な作業です。
皆さん一日中ハウスの中にいるので、日焼けしないように麦藁帽をかぶっていらっしゃいました。
今年の春は寒暖の差が激しかったことが幸いとなったのか、
例年よりもクレマチスの発色が良いとのことです。
無印良品の母の日のお届け開始まで、あともう少し。生産者さんも最後のひとがんばりの時期です。
ご注文いただきました皆様、ぜひ楽しみにしてお待ち下さい。
テーブルサイズのこだわりあじさい
母の日の花、「あじさい 手編みのカゴ入り」
特徴はテーブルなどの卓上でも飾りやすいコンパクトなつくりです。
鉢花のあじさいは、高さ40cm以上の大きさでつくられることが多い中で、
Flower MUJIの母の日の花のあじさいは、高さ約25cm。
食卓に置いてもじゃまにならず、彩りを添えてくれます。
このテーブルサイズのあじさいは、アレンジメントのように鉢花を気軽に飾って
楽しんでいただきたい、という生産者の思いのもとにつくられています。
育てているのは、大阪の生産者さん。
大阪と京都の2箇所、標高が高い場所に農場があります。
昨年の11月中旬に、あじさいがある大阪の農場に伺ってきました。
母の日のあじさいづくりは前年の5月から始まっています。
伺った11月はハウスの外、自然の環境下で育てられていました。
ここは標高が高いため涼しく、あじさいにとって過ごしやすい環境なのだそうです。
元気な葉を繁らせていますが、この葉はこの年の冬にはすべて枯れて葉を落とします。
この時期につくられた枝をもとに、翌年花が咲きます。
充実した枝づくりは、花の仕上がりを左右するポイントなので、
この時期の成長具合はとても重要です。
コンパクトに育てるためには色々な作業が必要になりますが、
一鉢一鉢の間隔をあけることが大切だそうです。
間隔を狭く置いて育てると、枝が上へ上へと伸びてしまい、高さが出てしまいます。
ゆとりをもたせることで、枝が横にのびやすくなるそうです。
その分スペースを使うことになるので、効率は悪くなりますが、
コンパクトに仕上げる為のこだわりです。
季節は変わり、母の日まであと少し。
あじさいは順調に育っていますよ、とのこと。
来週農場におじゃまする時には。色とりどりのあじさいが迎えてくれるのでしょう。
楽しみです。
テーブルにころんと咲くあじさい。
お母さんへ感謝の気持ちと一緒に、贈りませんか。
母の日リーガベゴニアの産地を訪ねて
母の日のギフトとして定着してきたリーガベゴニア。
お花の観賞期間が長く、観葉植物のように室内の日当たりのよい場所でも育てられることから、
この数年で人気が出てきています。
母の日のリーガベゴニアの準備が始まった昨年秋に、千葉県の農家さんを訪ねてきました。
お伺いするといつもベゴニアの話をたくさんしてくれる、ご兄弟の生産者さんです。
お話の様子から自分たちが作っているベゴニアに対する愛情と自信が伝わってきます。
11月は、ヨーロッパから何回かに分けて届いた挿し芽をポットに挿していく作業を行います。
届いたばかりの挿し芽は、葉っぱ一枚の寂しい状態ですが、
これがやがて上の写真のような立派なベゴニアに育っていきます。
挿し芽が傷んでしまう前に、どんどんポットに植えていきます。
この芽はヨーロッパから届いたものなので、日本とは違う環境で生まれたものです。
ヨーロッパは光線が弱く、日本では天気の良い日には強い日光が当たってしまうため、
温室内の光をヨーロッパと同じくらいになるように調節をします。
この調節をしないと、お花の色の濃さなどが変わってしまうとのことです。
光だけではありません。肥料によっても色目が変わってしまうとのことで、
なかなか繊細なお花なのです。
芽が挿し終わった段階のリーガベゴニアです。最初はこのように鉢と鉢の間隔がびっちりとしています。
寄せておくことで、お互いが蒸散する水分で空中湿度を保つことができ、
育ちやすい環境になるとのことです。
成長してきたらちょっとづつ間隔をあけて、十分に芽を伸ばせるようにしてあげます。
育てるコツをお尋ねしたところ、毎日毎日ベゴニアの状態をマメに見てあげることだ、
とおっしゃっていました。
ベゴニアに限らず、植物を育てるの上手な人は観察力が優れているとのことです。
確かに、土の湿り具合を見てお水やりのタイミングを計ったり、
葉の色が悪くなっていないか、虫がついていないか、
病気の苗は無いか、伸びすぎている苗は無いかなど、
見るべきことはたくさんあります。
観察を怠ると、いつの間にか病気が広がってしまったり、大きさが不ぞろいになってしまったりします。
観察するなんて当たり前のことのようですが、
自分では見ているつもりでも実はちゃんと見ていなかったりすることもあるんだろうなと思いました。
きちんと毎日観察をするというのはとても難しいことなのかも知れませんが、
ベゴニアへの愛情があるからこそ、毎日でもできることなのでしょう。
個性の違う、ふたつのミニバラの産地を訪ねて
Flower MUJI の「母の日」特集では、3アイテムのミニバラをご紹介しています。
いずれも東海地方で育てられたものですが、
赤とピンクは最新設備の整った、大きな農場で育てられたもの。
香りのミニバラは、個人の生産者が香りにこだわって育てているもの。
それぞれの産地を訪ねて、特徴や育て方を聞いてきました。
最初は、赤とピンクのミニバラを育てているハウス。
広大なハウスの中には、一面にミニバラの苗が並んでいます。
ひとくちにミニバラといっても、葉の色は品種によって異なるのがわかります。
こちらのミニバラは、約130年の伝統と実績のある、
デンマークのバラの育種会社によって育種されたもの。
一般的なミニバラとは異なり、比較的少ない光でも花を咲かせやすく、
室内でも楽しむことができたり、
お花を長く楽しむことができたり、
病気や害虫に強く、育てやすい、といった特徴があります。
そして、長い期間をかけなくても
株がしっかりとしたミニバラに育てることができるのも特徴のひとつです。
まずは挿し木。
葉を数枚残して切った茎を土に挿し、ビニールのシートで覆い、発根させます。
この状態では、根がまだ生えていないので、
土中から水分を吸い上げることができません。
葉から蒸散する水分の方が多いため、葉が乾燥してしまうのを防ぐために
覆っています。
何だか息苦しそうですが、根を生やすために大切な工程です。
根が出て、新しい葉が出てきたら、このまま大きくして、
と思いますが、ピンチと言って、伸びた茎を短く刈り込みます。
ピンチの作業も、このハウスでは機械を導入しています。
この作業によって、枝が増えてボリュームがつき、花芽もたくさんつくのです。
最新設備が整った、このハウスでは、ナトリウムランプも使用しています。
曇りや雨が続いておひさまの光が足りないとき、
ナトリウムランプのオレンジ色の光が日照不足を補い、
植物の成長を促してくれます。
ハウス内の温度を上げれば、植物は成長しますが、
おひさまの光がないと、ヒョロヒョロとして、茎がやわらかく病気になりやすい状態に
育ってしまいます。
おひさまの光は植物の成長に欠かせない要素です。
このナトリウムランプによって、天候による植物の成長スピードのずれが少なくなり、
母の日にちょうどよい状態のミニバラを出荷することができます。
次は香りのミニバラのハウスです。
ナトリウムランプのような設備はついていませんが、
とてもきれいなハウスです。
赤とピンクのミニバラは、ご紹介したように、最新設備と、
それに関わるたくさんのスタッフによって育てられています。
一方、香りのミニバラは、個人の生産者さんが、こだわりと長年の経験をもとに
育てています。
こだわりのひとつは、育てている品種。
バラは人気のお花なので、品種改良も盛んに行われています。
そのときに重要視されるのは、花色やかたち、保ち。
香りは目の前にないと確かめてもらうことができないので
伝えることがむずかしく、香りのある品種は少なくなってしまいました。
その中でも、ミニバラは香りをもたせることがむずかしいのです。
この生産者さんは、香りのあるミニバラを約10品種育てています。
その中でも、いちばん香りのある品種を、Flower MUJI の母の日特集で
ご紹介しています。
撮影のときに届いた香りのミニバラは、箱をあけた途端、
とってもいい香りがあふれ出てきました。
こだわりのふたつめは、液体肥料ではなく、固形肥料で育てること。
バラは肥料をたくさん必要とする植物ですが、
多くあげ過ぎてしまうと弱ってしまうので、量の見極めが大切です。
液体肥料の方が管理はしやすいのですが、
お手元に届いてからの保ちを考えて固形肥料をあげています。
液体肥料は後から水をあげると、水と一緒に流れ出てしまいますが、
固形肥料は土の中に肥料の成分が残ります。
そのため、気温も肥料成分も管理されたハウスから環境が変わっても、
いきなり水だけになって大きなストレスを感じることなく、
長くお楽しみいただけるように、と考えているのです。
同じ品種を育てても、肥料や水の管理によって、お花の大きさや保ちが
変わってきます。
経験がとても重要ですが、すべてに目の届く範囲でやっている
個人の生産者さんだからできることです。
冬季は無加温のハウスで管理をして、寒さにあてます。
自然と同じサイクルにすることで、春に花芽をつけるのです。
4月になったら、温度調節のできるハウスに移され、
母の日にちょうどきれいな花を咲かせることができるように見守ります。
ここもベテラン生産者さんの腕の見せどころです。
赤やピンクのミニバラは、短期間でしっかりとした株になるように
品種改良をされていますが、香りのミニバラはそうではありません。
倍以上の長い時間をかけて、じっくりと育て、母の日にあわせていきます。
母の日まで約1ヶ月。
それぞれ個性は違うけれど、どちらもちょうどきれいなお花を咲かせてくれそうです。
母の日カーネーションの産地を訪ねて
毎年5月には綺麗に色づいてお母さんへのプレゼントとされるカーネーション。
その準備は前の年の秋から始まっています。
準備が始まってしばらくした11月の初旬に、カーネーションの生産農家を訪ねてきました。
9月の終わり頃から、何回かに分けてオランダからカーネーションの苗が届きます。
10月いっぱいは届いた苗をポットに移す作業を行います。
苗をポットに移す作業にもコツがあって、それによって苗が蒸れて傷んだり、
根が病気になりにくくなりますので、最初が肝心です。
訪問した11月初旬は、ちょうどポットへの移し変えが終わって、
これからピンチという作業を行うところでした。
これが移し替えが終わった苗です。まだまだ小さいです。
これからピンチを行うわけですが、ピンチというのは株を充実させるために、
あえて枝や幹の途中を切ってしまう作業です。
植物は放っておくと、早くたくさんの日光を浴びようとして、上へ上へと成長していきます。
そうすると背は高くなるのですが、枝数が少なくて見た目が寂しくなります。
枝数が減るのでお花数も少なくなります。
なのでちょっとかわいそうなようですが、枝や幹を切ってしまうことで、
横に広がろうとして枝数が増えていき、
母の日を迎える頃にはこんもりとして、花芽のたくさんついたカーネーションに仕上がります。
ピンチ待ちの苗たちです。
ピンチも品種によっては1回だけでよいものもありますし、
2回しなければいけないものもあります。
そして、何千何万とある苗のピンチを、カーネーション農家のお母さんが
たった一人で行っているのです。
ピンチにもコツがあって、色んな人がピンチをしてしまうと、
大きさがまちまちになって不ぞろいになってしまいます。
なので、この作業だけはお母さんが一人でやることになっています。
お父さんも手伝わせてくれないとのことで、ちょっと寂しそうなお父さんでした。
たった一人でやるとはいっても慣れたものですので、
全部終えるのに10日程度しかかからないとのことです。
ピンチはさせてくれませんが、お水やりではお父さんが活躍します。
ひとつひとつの苗の土の乾き具合を観察して、必要な量のお水を与えます。
カーネーションに限りませんが、植物はお水を与えすぎると根がしっかりと張りません。
土が乾燥する期間を設けることによって、根が水を求めて土中に伸びていきます。
根がしっかりと成長していないと、株が成長したときに自分の体重を支えることができなくて
グラグラしてしまうこともあります。
甘やかしてはいけないのは、植物も人間も同じです。
「母の日」が近づいてきました。
昨年の秋から一つ一つ丁寧に育てられたカーネーションが
全国のお母さんのもとに届けられるまで、あとひと月ちょっとです。