連載ブログ 富士山麓通信

大根葉を使い切る

2011年08月03日

富士山麓と東京を往き来する暮らしをしていると、「自然」に置いてけぼりをくうことがよくあります。昨年は野イチゴを摘みそこね、今年は桑の実酒を仕込むタイミングを失しました。自然は人間の都合に合わせてはくれない──森で暮らしてみて、何より実感するのはこのことです。
大根畑も、二度目の間引きが大幅に遅れました。慌てて葉を間引いたものの、「間引き菜」とは呼べないほどの大きさになっています。もったいないので、なんとか使い切る方法を考えました。

  • 間引きが遅れ密生した大根畑
  • 間引いた大根葉

葉っぱのやわらかいところは、油揚げと一緒に煮浸しにしました。残ったものは、葉だけちぎり取ってさっとゆがき、小分けして冷凍保存。小さく刻んで、ご飯にまぶしたり、おにぎりやお味噌汁の具に使います。

  • 大根葉と油揚げの煮浸し
  • さっとゆがいて冷凍

茂ってかたくなった大根葉は、どうしよう? 以前、北国の人が「干した大根葉をお風呂に入れると、身体が芯から温まる」と言っていたのを思い出しました。早速、天日干しに。干し上がったものを洗濯ネットに入れて、お風呂に浮かべてみました。お湯がまろやかになり、干し草の香りもして、幸せな気分です。

  • 大根葉の天日干し
  • 洗濯ネットに入れて
  • お風呂に浮かべます

普通の間引き菜には白い根っこの部分は付いていないものですが、育ちすぎたわが畑の間引き菜は、ほとんど「細身の大根」状態。輪切りにして天日干しして、「自家製切り干し大根」に。ごま油で炒め、醤油と味醂と七味唐辛子で味付けすると、歯応えのある一品になりました。

  • 間引き菜というより、既に大根。
  • 輪切りにして天日干し。細切りより輪切りのほうが歯応えを楽しめます。
  • 干し大根の甘辛煮

「一物全体(いちぶつぜんたい)」とは、食べものの全体を食べることで、食べものの命をそのままいただく、という考え方です。時間も手間もかかりますが、できるだけ、そんな暮らしをしたいと思います。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

最新の記事一覧