鹿に注意
野生の鹿に初めて遇ったのは、森に引っ越してきた年の晩秋の夕べ。富士山につながる山の斜面とゴルフ場に挟まれた細い道を、数頭の群れが横切っていきました。驚いて車を止め、しばらく見入っていたら、向こうも立ち止まり、品定めをするようにこちらを見ています。そして、ゆうゆうと立ち去っていきました。
- 少ない時でも2~3頭、多い時は10頭以上の群れで移動します。
- 顔だけでなく、お尻も可愛いのです。
- フラッシュをたいたら、目が光ってしまいました。
初対面の感激から10年ちょっと。鹿に遇う回数がどんどん増えていて、去年あたりからは庭先までやってきて道端の草を食べていきます。鹿が食べた跡は、きれいに刈り取られたように同じ高さに揃っているので、すぐにそれとわかるのです。裏庭の畑に植えた枝豆も、きれいに刈り取られていました。
- 鹿の好物のアカソという草
- 畑の野菜も好きみたい
作家・武田泰淳の夫人、武田百合子さんが書いた「富士日記」を読むと、ご夫妻がこの森(隣の別荘地)に住んでいた当時(昭和40年代)は、猟犬を連れたハンターが庭にずかずかと入り込んでくることもあったとか。いまはこの辺りは禁猟区になっていますので、それで鹿が増えているというのもあるのでしょう。
- 至る所に、こういう看板が。
- そして、こんな看板も。
このところ、地元では鹿の「獣害」が問題になっています。山が雪で覆われる冬場、鹿たちは木の樹皮をかじって生き延びますが、樹皮をはがされて幹がむき出しになった木は枯れてしまうのだとか。最近、地元の道の駅で「鹿肉ソーセージ」が売られ、湖畔のレストランのメニューに鹿肉カレーが加わったのも、こうしたことと無縁ではなさそうです。
- どちらも、私はまだ食べたことはありません。
- 鹿に樹皮を齧られた木
「共生」がテーマになっていく、これからの時代。本当の意味で自然と共生するために、私たち人間は何ができるのでしょう。無邪気に森の中を動き回っている鹿に遇うたび、いろいろなことを考えさせられます。