連載ブログ 富士山麓通信

お鍋でスモーク

2011年11月16日

時々、家でスモークを作ります。こう書くと、「森の中に住んでいから出来ることね」と言われそうですが、私のスモークは何も大がかりなものではありません。お鍋にほんのひとつまみのチップを敷き、保温調理で作る簡単なもの。時間も、加熱時間と保温時間合わせて30分未満。魚柄 仁之助さんの本で知り、東京に住んでいたころからやっている方法です。

用意するものは、フタのぴっちり閉まるお鍋とそのお鍋の径にぴったり合うステンレスの網、ごく少量のチップ、そして保温用の鍋カバーです。
もっとも大変なのは、お鍋の径にぴったり合うステンレス網を探すこと。と言うのも、同じ径のものを買ったつもりでもメーカーが違うと微妙に合わなかったり、径は合ってもお鍋に引っ掛かりがなくて鍋底まで落ちてしまったりと、なかなかうまくいかないのです(鍋底にチップを敷くため、網が鍋底については困ります)。ところが最近、「脚付きの蒸し器があればいいんだ!」と発見(?)しました。とりあえず私は、苦労して手に入れた網を使ってやっていますが、これから試してみようという方は、探す手間のかからないそちらがおススメ。鍋カバーは、バスタオルや毛布などでくるんでも代用できます。

わが家でスモークに使うお鍋とステンレス網。スモーク用のチップは、ホームセンターなどで500グラム500円程度で売っています。

左:ドーム型の鍋カバー。ファスナーでぐるりと周囲を覆うので、保温効果はなかなかのもの。ただ、この色柄は正直、気に入っていません。 右:こちらは友人お手製の帽子型の鍋カバー。かぶせるタイプなので、下に座布団か鍋敷きなどが必要です。折り畳めるので収納には便利。

作り方は、いたって簡単です。鍋底にひとつまみ(5グラム程度)のチップを敷き、ステンレス網をセットし、網の上に材料をのせます。お鍋を種火にかけ、フタの隙間から煙が出てきたら5~7分加熱。その後、鍋カバーで20分保温して完成です。
今回は、肉類には櫻のチップを。チーズには広葉樹をブレンドしたチップを使いました。チップに何を使うかで香りも違ってきますので、いろいろ試してみるのも楽しいものです。

スモークする量にもよりますが、このお鍋でするなら、チップはこの程度で十分。今回の加熱時間は、チーズ5分、鶏肉とウインナーソーセージ7分でやりました。鍋カバーのファスナーは、全部閉じます。

材料の条件は、水分が抜けていることと塩分が加わっていること。チーズやハム、干物、練り製品などは、そのままで使えます。今回は、チーズとウインナーソーセージ、鶏のささ身を使いましたが、上の条件を満たすため、鶏肉だけは塩を振って脱水シートに包み冷蔵庫で一晩おきました。

冷蔵庫に一晩入れて、適度に水分が抜けた鶏肉。

左:加熱・保温直後のチーズ。 右:鍋底には、炭になったチップが残ります
チーズは冷ましてからカットします。

いい色に仕上がったチキンとウインナー。

今回はやりませんでしたが、竹輪やかまぼこなどの練り製品、子持ちししゃもなどの干物は、そのまま使えて、しかもおいしい。濃いめの塩水で茹でた卵をスモークするのも、おススメです。沢庵もそのまま使え、スモークすると秋田の「いぶりがっこ」風のおいしさになります。

スモークチキンを裂いて盛り付けました。スモークチキンは、そのままではもちろん、サラダや酢の物などに入れてもおいしく食べられます。

急なお客さまで何もない時も、30分あればお酒の肴ができてしまうのが、このスモークのいいところ。手土産にしても喜ばれます。
手作りって、手間のかかるものばかりでもないのです。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

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