レアな柿ジャム
11月9日付けのブログでご紹介した干し柿が、順調に熟しています。と書きたいところですが・・・今年は干し柿戦線に異常あり。妙に暖かい日が続いて、晩秋らしい気候がなかったせいでしょうか。なかなか、柿の水分が抜けてくれません。最初に吊るした柿は百匁柿 (ひゃくめがき) という大きな品種だけに、自らの重みに耐えかねて落下してしまうものが続出。干し柿作りを始めてかれこれ十年近くになりますが、こんなことは初めてです。
そういえば今年は、気温が下がらなかったせいで、森の紅葉の色もいまひとつ。紅葉できないまま茶色に変色して落葉した木々も多く、地球温暖化の影響を肌で感じた秋でした。
とはいえ、めげている暇はありません。当面の急務は、落下した干し柿をどうするか・・・1個百円以上もする渋柿を、ていねいに剥いて吊るしたものです。落ちたからといって、捨てるのはあまりに忍びない。汚れを取って、口に入れてみました。ラッキーなことに渋は抜けていて、とろりとした濃厚な味わいです。
「これって、ジャムだよね? 」試食した家族に訊くと、「うん、ジャムだね」という答。「ジャム」の厳密な定義は知りませんが、こうなったら「ジャム」に決定です。種を除いて瓶に詰めれば、見た目もジャムそのまま。煮ても焼いてもいない、まさにレアな柿ジャムができました。
「柿や梨はペクチンが少なく風味も弱いから、単独ではどう作ってもおいしいジャムにならない」と聞いたことがあります。レモン汁で補うと、レモンの風味ばかりが勝ってしまうのだとか。
それなのに、ウチの柿ジャムの濃厚な甘みはどうでしょう。レモンや砂糖はもちろん、熱も加えていない、まさに100%熟柿ジャム。異常気象がくれた想定外の産物ですが、素直に喜べるおいしさです。
とはいえ、干し柿が干し柿にならない自然界の変化は、やはり怖いものがあります。どうか、柿ジャムが今年だけのことで終わりますように、と祈らずにはいられません。