薪ストーブ
地元の人との会話で「薪ストーブを使っている」と言うと、つい最近までは「よくやるなぁ~」とあきれ顔をされることが多く、酔狂な人のように言われたものでした。冬場は最高気温が氷点下の日も珍しくない寒冷な当地でも、暖房はエアコンや石油ストーブが圧倒的に多く、手間のかかる薪ストーブは敬遠されがちだったのです。
そんな中、昨年の東日本大震災に伴う停電やその後の計画停電では、エアコンが使えないのはもちろん、石油ストーブの着火もできず、多くの人が寒さに震えました。ゴールデンウイーク近くまで日陰に根雪が残っている当地では、3月はまだ寒さのまっただ中です。暖房の基本が暖炉と薪ストーブのわが家では、幸いにして「暖」と煮炊きの熱源だけは確保できました。
そんな体験をしたせいか、この冬は薪ストーブが見直されているようです。地元のホームセンターでも、薪ストーブや簡易ストーブ、七輪など、薪や炭を燃料とする器具のオンパレード。薪ストーブ派の私としては、わが意を得たりの心境です。
中:時計型薪ストーブは初めてみました。
右:薪を買うとなると、こんな値段。もちろん、わが家では手作りです。
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わが家には1階から3階まで突き抜ける大きな暖炉がありますが、真冬になると、とてもそれだけではまかなえず、薪ストーブの出番となります。熱効率の良さと暖かさでいけば、薪ストーブは暖炉の比ではないのです。
そして、さらに嬉しいのは、暖を取りながら煮炊きもできること。お餅や芋を焼いたり、やかんやお鍋をのせたり。特に、ことこと煮込むシチューやおでんなどは薪ストーブのお得意分野で、ストーブの上でお鍋が温かい音をたてている幸せ感は、ちょっといいものです。やかんをかけておくと、部屋の乾燥対策にも。常にお湯が沸いているので料理時間も短縮され、そのお湯は、夜には湯たんぽに入って寝床を暖めてくれます。
薪ストーブの火は遠赤外線なので、焼き芋もおいしく焼き上がります。ホイルに包んだ芋をストーブの上にのせておくだけで、石焼き芋屋さんのお芋に負けないくらいのほくほく感。わが家の冬場のおやつの定番です。
そして、簡単でおいしいのが、ドライフルーツ作り。これについては、次回のブログで詳しくお伝えします。
(2)ストーブの上にのせるだけ。(隣の網の上は、柚子とみかんの皮で、ドライフルーツを作っているところ)
(3)放っておけば、焼きあがり。
冬のわが家の人口分布は、薪ストーブの周辺に集中。ただ暖かいだけでなく、ゆらぐ炎を見ていると、穏やかな気持ちになり、心まで温まるような気がするからでしょう。厳しい冬を乗り越えるには、みんなが寄り添える場所があることが必要なんですね。ちなみに、犬も薪ストーブの前に陣取ります。
とはいえ、薪ストーブもいいことづくめではありません。薪ストーブを使うには、薪作りをはじめ、薪運び、煙突掃除、煙突のメンテナンスなど、それに付随する肉体労働もいろいろ。でも、そんな面倒臭さも引き受けることが、自然と共生するための第一歩なのかもしれません。
日本は森林の国。間伐材を使うことで里山の再生にもつながっていけば・・・そんな気持ちで、まずは森の中に住む私たちが薪ストーブを楽しんでいきたいと思います。