連載ブログ 富士山麓通信

薪ストーブでドライフルーツ

2012年01月25日

陽射しのある夏場にはベランダで「半干し野菜」を作りますが、冬場の野菜干しはとても無理。なにしろ、晴天の日でも洗濯物が凍ってしまうほどの寒冷地なのですから。というわけで、冬は薪ストーブの上が「干し場」に。果物はもちろん、残り野菜や香草など、何でも適当にのせて乾燥させます。ストーブの上が空白になっていると落ち着かない貧乏性の私にとって、ドライフルーツ作りは格好の遊びです。

左:お鍋の翌日は、柚子の皮を乾燥。濃いオレンジ色は、みかんの皮。
右:パプリカやセロリもドライに。

バナナは甘みが凝縮されて、「これでもか! 」という甘さ。ほとんど「お菓子」のようになります。

薪ストーブで作るドライフルーツは、「作る」という言葉を使うのもおこがましいほど簡単です。りんごなら、輪切りにして芯をくりぬき、ストーブの上にのせるだけ。そのうち、部屋中にアップルパイを焼く時のような甘酸っぱい香りが満ちてきて、とても幸せな気分になります。
外国製の高価な薪ストーブには、本体の両翼に「ウォーミングシェルフ」という棚のようなものが付いています。が、国産鋳物製のわが家のストーブには、もちろん、そんなしゃれたものは付いていません。トリベット(ストーブの上に置いて遠火にする鉄製の鍋敷き)もありません。でも、大丈夫! 日本には、餅網というシンプルで強い味方があります。

遠火に調整するため、厚手の2段仕立ての餅網を使っています。りんごの芯のくり抜きは、クッキーの型抜きで。

りんごは、乾燥度合い (焼き時間)によって食感がまったく異なり、別もののような仕上がりになります。少し水分が残っているくらいだと、素朴なアップルパイ風。さらに乾燥が進むと、パリパリになって、甘酸っぱいポテトチップス風に。ひとつの食材をいろいろな食感で味わえるのも、手作りならではの楽しみでしょう。もっとも、ついつい途中でつまんでしまうので、パリパリになる頃にはほとんどなくなっていますが・・・。

りんごやキーウイなどはそのまま食べますが、柚子やみかんの皮、香草などは乾燥させた後、粉末にして保存瓶に。こうしておけば、スパイス、ドリンク、調味料、だしなどの原料として、いつでも使えます。柚子の粉をお湯で割って飲んだり、ホットワインに入れても、なかなか。私は、焼き塩とブレンドした柚子ソルトも常備しています。

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柚子の皮をミルで挽いて粉末に(左)。焼き塩と混ぜ合わせた柚子ソルトは、天麩羅や焼き魚などにぴったり(中)。グラニュー糖と混ぜ合わせて柚子シュガー(右)。

香りのよい柚子シュガーは、紅茶やフレンチトーストにも。

お料理で残った香味野菜なども、ドライ粉末にして、スパイス感覚で使います。ドレッシングに加えたり、スープに入れたり。自然のままの色と香りが、お料理に精彩を与えてくれる気がします。

  • セロリとパプリカの粉末。

寒い日につくるホットワインにも、ドライフルーツを使います。赤ワインにシナモンと自家製の柚子パウダーを入れて弱火で温め、グラスにはドライレモンを浮かべてみました。柚子の香りとレモンのほどよい酸味が赤ワインにマッチして、気持ちまで温まるようです。

今回はご紹介していませんが、ドライフルーツと同じ要領で、きのこや野菜なども薪ストーブの上で半干しします。陽射しの少ないこの時季、そして各地で放射能汚染の心配も懸念される昨今、家の中でできる乾燥は大助かり。ちょっと工夫すれば、石油ストーブなどでもできるかもしれません。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

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