薪ストーブでドライフルーツ
陽射しのある夏場にはベランダで「半干し野菜」を作りますが、冬場の野菜干しはとても無理。なにしろ、晴天の日でも洗濯物が凍ってしまうほどの寒冷地なのですから。というわけで、冬は薪ストーブの上が「干し場」に。果物はもちろん、残り野菜や香草など、何でも適当にのせて乾燥させます。ストーブの上が空白になっていると落ち着かない貧乏性の私にとって、ドライフルーツ作りは格好の遊びです。
右:パプリカやセロリもドライに。
薪ストーブで作るドライフルーツは、「作る」という言葉を使うのもおこがましいほど簡単です。りんごなら、輪切りにして芯をくりぬき、ストーブの上にのせるだけ。そのうち、部屋中にアップルパイを焼く時のような甘酸っぱい香りが満ちてきて、とても幸せな気分になります。
外国製の高価な薪ストーブには、本体の両翼に「ウォーミングシェルフ」という棚のようなものが付いています。が、国産鋳物製のわが家のストーブには、もちろん、そんなしゃれたものは付いていません。トリベット(ストーブの上に置いて遠火にする鉄製の鍋敷き)もありません。でも、大丈夫! 日本には、餅網というシンプルで強い味方があります。
りんごは、乾燥度合い (焼き時間)によって食感がまったく異なり、別もののような仕上がりになります。少し水分が残っているくらいだと、素朴なアップルパイ風。さらに乾燥が進むと、パリパリになって、甘酸っぱいポテトチップス風に。ひとつの食材をいろいろな食感で味わえるのも、手作りならではの楽しみでしょう。もっとも、ついつい途中でつまんでしまうので、パリパリになる頃にはほとんどなくなっていますが・・・。
りんごやキーウイなどはそのまま食べますが、柚子やみかんの皮、香草などは乾燥させた後、粉末にして保存瓶に。こうしておけば、スパイス、ドリンク、調味料、だしなどの原料として、いつでも使えます。柚子の粉をお湯で割って飲んだり、ホットワインに入れても、なかなか。私は、焼き塩とブレンドした柚子ソルトも常備しています。
お料理で残った香味野菜なども、ドライ粉末にして、スパイス感覚で使います。ドレッシングに加えたり、スープに入れたり。自然のままの色と香りが、お料理に精彩を与えてくれる気がします。
寒い日につくるホットワインにも、ドライフルーツを使います。赤ワインにシナモンと自家製の柚子パウダーを入れて弱火で温め、グラスにはドライレモンを浮かべてみました。柚子の香りとレモンのほどよい酸味が赤ワインにマッチして、気持ちまで温まるようです。
今回はご紹介していませんが、ドライフルーツと同じ要領で、きのこや野菜なども薪ストーブの上で半干しします。陽射しの少ないこの時季、そして各地で放射能汚染の心配も懸念される昨今、家の中でできる乾燥は大助かり。ちょっと工夫すれば、石油ストーブなどでもできるかもしれません。