連載ブログ 富士山麓通信

桜、さくら、サクラ

2012年05月16日

仕事で東京に長居していたら、家族から「桜が散っちゃうよ」という電話が入り、慌てて帰宅しました。ちょうど大型連休のころ、富士北麓では富士桜という小さな山桜が山を埋め尽くします。地球温暖化の影響もあって、このところ開花が年々早くなっていたのですが、今年は春先に冷え込んだせいか、20年前の開花時期に逆戻り。なんとか帰りを待ってくれていた樹もあって桜吹雪の舞う中、一年ぶりの再会ができました。

富士桜は、富士山麓に自生する豆桜です。ソメイヨシノのように挿し木で育つのではなく、種から芽を出して生長する実生の桜。それだけに、種が落ちると至るところに芽を出して増え、まだ膝下丈くらいの若木でも精一杯の花をつけます。大木の間で低木の桜や若木、幼木の桜が地面をおおうように花をつけて、山全体が桜色に。今年は満開を過ぎていたため、写真ではうまくお伝えできないのが残念です。

富士山に似合うのは、やはり富士桜。

一輪一輪の花は小さく、うつむいて楚々と咲きます。「恥じらう乙女のように可憐」と言ったら、「いまどき、そんな言葉は死語でしょう」という反応もありました…。

この期間、地元では「富士桜ミツバツツジまつり」が開かれます。もともとは桜だけのおまつりだったのですが、開花が年々早まって大型連休とタイミングが合わなくなり、桜に遅れて咲くミツバツツジをくっつけたもの。主催者側の苦労がしのばれるネーミングです。今年は、大型連休と開花がぴったり合って、胸をなでおろしたことでしょう。
このおまつりをやり過ごしては春が終わらないので、最終日、お弁当を持ってお花見に出かけました。

おまつり会場の正面入り口に立つ大木は、枝垂れの富士桜。同じ富士桜でも、こちらは、あでやかです。急に思い立ったので、残り物のお寿司を詰めてお弁当に。
ミツバツツジは、花が終わると三つ葉が出てきます。おまつり会場には、富士桜の苗木や山菜の売場も。

山菜売場で買った「うるい」は、帰って酢味噌でいただきました。

「桜のハシゴをしよう」と、次に訪れたのは本栖湖近くの「桜まつり」。桜は桜でも、こちらは芝桜です。80万株の芝桜の群生地という触れ込みですが、「本日四分咲き」の表示。花の文様は、本栖湖の龍神伝説にのっとって巨大な龍を形どっているそうですが、四分咲きのため、はっきりとはわかりませんでした。

曇りがちだったため、はっきり見えませんが、池の向こうにそびえるのは富士山。
池の向こう岸には、富士桜が咲いていました。真ん中の芝桜は、まだら模様を描く「多摩の流れ」という品種。

おまつり会場には、おいしい桜もいっぱい。桜とついたら見逃すわけにもいかず、あれこれ買ってしまいました。せっかくいっぱい歩いたのに、これですっかり帳消し。季節を味わうこととダイエットとは、なかなか両立しないものですね。

桜の花びらの塩漬けで飾ったシフォンケーキ。

塩漬けした桜の葉を刻んで餡に練り込んだ、さくら葉餅。会場で人気ナンバー1のおみやげとか。

桜の葉と花びらを大粒の落花生に巻き込んだ、さくら豆。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

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