連載ブログ 富士山麓通信

ポットラックパーティー

2012年06月27日

時々、一品持ち寄りのポットラックパーティーを開きます。
もう20年も前のことですが、ニューヨークに旅行中、現地在住の友人(日本人)に誘われてニューヨーカーのポットラックパーティーに参加させてもらう機会がありました。持ち寄るものは、みなさん本当にまちまち。ふだん作り慣れているお得意料理だったり、お気に入りのお店のスイーツだったり、ワイン1本だったり…クラッカーだけという人もあって、招く方にも招かれる方にも、まったく「気負い」がありません。友人は「おでん」を作って鍋のまま持参し、それが大好評でした。楽しくおしゃべりすることが目的だから、準備のために頑張りすぎない。その気軽さがとてもいい感じで、それ以来、我が家でも時々開くようになったのです。
招く側も招かれる側も負担が少ないのが、持ち寄りパーティーのよいところ。でも、中には「手作りでなければ」と重荷に感じる人もいるので、声をかけるときは「市販のコロッケでもいいから」と付け足すことにしています。以前、市販のコロッケを持ってきた人がいて、パーティーの場で食べると、それがとてもおいしく感じられたことがあったからです。

今回のパーティーは、その3日前にあった万華鏡を作るワークショップの二次会です。「やらない?」と声をかけたのは、パーティーの前日でした。思い立ったときに気軽に開けるのも、「持ち寄り」だからこそでしょう。

ワークショップで作った万華鏡。右は、その万華鏡で覗いた景色。

持ち寄られたものは、竹炭入りのパン、マーマレード、自家栽培のお米で作った玄米おむすび、糠漬け、鹿肉の塩漬け、人参シリシリ、油揚げの袋詰め、散らし寿司、フルーツケーキ、サラダ、ハーブの生葉、ワイン、ビール、日本酒などなど。珍しく、お酒以外はすべて手作りの品でテーブルが埋まりました。今回のメンバーは、たまたま農に関わる人やクリエーター、ミュージシャンなど、自分の手を動かすのが好きな人が多かったせいかもしれません。普段のポットラックパーティーではここまで手作りが揃うことはまずありませんし、それでかまわないのです。

左:竹炭入りのパンもマーマレードも自家製。作ったのは男性です。
右:カットもご自分でやってもらいます。
左:鹿肉の塩漬け。借家の大家さんが、鹿狩りをして塩漬けしたものだとか。
右:油揚げの袋詰めは、何が入っているかわからない期待感があります。
左:自分で育てたお米で作ってきてくれた玄米むすび。糠漬けも自家製です。
右:ナッツとドライフルーツがたっぷり入ったケーキ。
散らし寿司は、私の定番。いつもは右のように五目煮の具で作りますが、今回は時間もなかったので簡単なものに。塩麹を塗って焼いた鰺の身をほぐし、畑の青紫蘇と梅酢に漬けた紅生姜を刻んで混ぜ込んだだけ。大人向けのさっぱり味に仕上がり、意外と好評でした。

自分も座りこんでおしゃべりしていたいというわがままなホステスなので、基本は、ともかくセルフサービス。お料理の取り分けも、お茶を淹れるのも、お酒を割るのも、すべて「ご自由にどうぞ」の世界です。あまり気を遣わないほうが、みんなが楽しめるような気がするからです。

ふだんから仕込んでおいた果実酒が、こんなときに役に立ちます。今回並べたのは、梅、花梨(かりん)、うこん、ヤマボウシ、桑の実、柚子の果実酒。天然の炭酸水を添えて。

日本茶、紅茶、烏龍茶、ミントティー、手作りのヨモギ茶とドクダミ茶、オオバコ茶、そして天然の炭酸水。この他に、持ち寄りの一品で、自家栽培ミントの生葉もありました。

準備に手間がかからず、おいしく食べられて、話題も提供してくれるのが、いろいろな「お塩」。普段から好きで、何かにつけてちょこちょこ買い集めているお塩を小瓶に入れて出します。今回もサラダ用のドレッシングを用意してあったのですが、お塩の方が圧倒的に売れました。

今回並べたお塩は、イタリアの岩塩、ヒマラヤの岩塩、沖縄の自然塩、藻塩(もしお)、そして手作りの柚子ソルト。これは、薪ストーブの上にのせてカラカラに干した柚子をミルで挽いてお塩と混ぜたものです。

今回はなんと、キャンドルまで自前でした。参加者の中にキャンドル作家がいて、自作のキャンドルを持ってきてくれたのです。まずは明るいところに飾って眺め、宴もたけなわになった頃に灯しました。ゆらぐ炎は、それだけで癒し効果絶大。そもそもが万華鏡ワークショップの二次会ですから、持参した万華鏡を覗いてキャンドルの炎を眺める人も。この万華鏡は、チップを入れるタイプではなく、三面鏡の原理で目の前の景色が変化するというものなのです。

締めは、万華鏡ワークショップで教えてくれたミュージシャンのミニライブ。人見知りして別室に隠れていた家猫も、このときばかりは出てきてキッチンの隅っこで聴いていました。

あるものを持ち寄って、分け合って、共に過ごす時間を楽しむポットラックパーティー。秘訣は、無理をしないことでしょうか。日本でも、もっと広まればいいのにな、と思います。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

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