ポットラックパーティー
時々、一品持ち寄りのポットラックパーティーを開きます。
もう20年も前のことですが、ニューヨークに旅行中、現地在住の友人(日本人)に誘われてニューヨーカーのポットラックパーティーに参加させてもらう機会がありました。持ち寄るものは、みなさん本当にまちまち。ふだん作り慣れているお得意料理だったり、お気に入りのお店のスイーツだったり、ワイン1本だったり
クラッカーだけという人もあって、招く方にも招かれる方にも、まったく「気負い」がありません。友人は「おでん」を作って鍋のまま持参し、それが大好評でした。楽しくおしゃべりすることが目的だから、準備のために頑張りすぎない。その気軽さがとてもいい感じで、それ以来、我が家でも時々開くようになったのです。
招く側も招かれる側も負担が少ないのが、持ち寄りパーティーのよいところ。でも、中には「手作りでなければ」と重荷に感じる人もいるので、声をかけるときは「市販のコロッケでもいいから」と付け足すことにしています。以前、市販のコロッケを持ってきた人がいて、パーティーの場で食べると、それがとてもおいしく感じられたことがあったからです。
今回のパーティーは、その3日前にあった万華鏡を作るワークショップの二次会です。「やらない?」と声をかけたのは、パーティーの前日でした。思い立ったときに気軽に開けるのも、「持ち寄り」だからこそでしょう。
持ち寄られたものは、竹炭入りのパン、マーマレード、自家栽培のお米で作った玄米おむすび、糠漬け、鹿肉の塩漬け、人参シリシリ、油揚げの袋詰め、散らし寿司、フルーツケーキ、サラダ、ハーブの生葉、ワイン、ビール、日本酒などなど。珍しく、お酒以外はすべて手作りの品でテーブルが埋まりました。今回のメンバーは、たまたま農に関わる人やクリエーター、ミュージシャンなど、自分の手を動かすのが好きな人が多かったせいかもしれません。普段のポットラックパーティーではここまで手作りが揃うことはまずありませんし、それでかまわないのです。
右:カットもご自分でやってもらいます。
右:油揚げの袋詰めは、何が入っているかわからない期待感があります。
右:ナッツとドライフルーツがたっぷり入ったケーキ。
自分も座りこんでおしゃべりしていたいというわがままなホステスなので、基本は、ともかくセルフサービス。お料理の取り分けも、お茶を淹れるのも、お酒を割るのも、すべて「ご自由にどうぞ」の世界です。あまり気を遣わないほうが、みんなが楽しめるような気がするからです。
準備に手間がかからず、おいしく食べられて、話題も提供してくれるのが、いろいろな「お塩」。普段から好きで、何かにつけてちょこちょこ買い集めているお塩を小瓶に入れて出します。今回もサラダ用のドレッシングを用意してあったのですが、お塩の方が圧倒的に売れました。
今回はなんと、キャンドルまで自前でした。参加者の中にキャンドル作家がいて、自作のキャンドルを持ってきてくれたのです。まずは明るいところに飾って眺め、宴もたけなわになった頃に灯しました。ゆらぐ炎は、それだけで癒し効果絶大。そもそもが万華鏡ワークショップの二次会ですから、持参した万華鏡を覗いてキャンドルの炎を眺める人も。この万華鏡は、チップを入れるタイプではなく、三面鏡の原理で目の前の景色が変化するというものなのです。
締めは、万華鏡ワークショップで教えてくれたミュージシャンのミニライブ。人見知りして別室に隠れていた家猫も、このときばかりは出てきてキッチンの隅っこで聴いていました。
あるものを持ち寄って、分け合って、共に過ごす時間を楽しむポットラックパーティー。秘訣は、無理をしないことでしょうか。日本でも、もっと広まればいいのにな、と思います。