ベランダで涼む
梅雨も明けて各地の最高気温を聞くたびに、夏は森に住む幸せを感じます。標高1200m近くのこの地では、もちろんクーラーはいりませんし、真夏でも夜は窓を開け放ったままでは眠れないほどです。
この季節、周囲のお宅を見ても、ベランダで過ごす人が圧倒的に多いことに気づきます。澄んだ森の空気を吸いながら、お茶を飲んだり、お昼寝をしたり、食事をしたり、中にはパソコンを持ちだして仕事をしているらしい人も。家の中に居るのがもったいないような気分になるのでしょう。
わが家には、ベランダが二か所あります。一つは2.7m×10mで、もう一つは2.7m×10mに1.7m×10.5mを足したL字形のベランダ。都会のマンションのベランダに比べると、かなり大きいサイズで、子どもが小さい頃はここに子ども用のプールを出して遊ばせたりしたものです。
今ベランダを使うのは、もっぱらボーっとした時間を過ごすため。野鳥の声を聞いたり、木々の揺れる様を見たり、風の動きを肌で感じたり 本を読むつもりだったのに、そのままお昼寝してしまうこともしばしばです。
人間にとって心地よい場所は、犬や猫にとっても同じ。誰よりも夏のベランダを満喫しているのは、彼らかもしれません。わが家では犬は1階、猫は2階と棲み分けしていて、ベランダも同様に1階のベランダは犬のもの、2階のベランダは猫のものになっています。彼らにとって、ベランダは外の世界との接点。ここにたまたま虫などがやって来ると、ハンターとしての本能が目覚めるようで、運の悪い虫は彼らの餌食になってしまうことになります。
我が家のベランダは、二か所とも北向きに付いています。日本の感覚では、ちょっとあり得ない位置なのですが、この家はもともと、アメリカ人が避暑のために建てたもの。完全に夏向きにできているのです。
おかげで夏場はとても快適なのですが、問題はそれ以外の季節。洗濯物の乾きもいまひとつだし、お布団を干すにも陽射しが足りません。特に1階のベランダは日あたりが悪く、犬にはちょっと可哀想なことになっています。
そんなわけで、1階の南側にベランダが欲しい、というのは以前からの想いでした。ある日のこと、家人がツーバイフォーの材木を30本ばかり買い込んできました。ベランダをつくる、といいます。やっと「その気」になってくれたようですが、まったくの素人が大丈夫なのかしら こちらの不安をよそに、嬉々としてやっている姿は、まるで老けた少年のようです。
最後にペンキを塗って、ついに完成。近くのベランダを見て研究したといいますが、その気になれば素人にもできるものなんですね。仕上がりサイズは床の幅が1.2m×長さ3.6mで、手すりとドア、階段付き。以前からあるベランダに比べるとずっと小ぶりですが、陽射しがたっぷり注ぐ貴重な南向きです。
陽射しを求めてつくったベランダは、当然、涼むには不向きです。すだれを掛けて日除けにし、夏らしくしつらえてみました。
これ以外のベランダは、たまたま北向きなので何もしなくても涼しいのですが、南向きのベランダなどは、普通は涼むところではないのでしょうか?
でも、暑い夏だからこそ、室内と外との中間地帯であるベランダを活用したいもの。すだれやよしず、グリーンなどを利用して日陰をつくり、かつての「縁側」のような空間にできたらいいな、と思います。