湖畔の祭り
五湖をめぐる花火大会や道の駅の収穫祭など、夏の富士山麓はお祭りで賑わいます。そんな中、西湖湖畔のキャンプ場で催された、ちょっと珍しいお祭りに行ってきました。
「子どもと大人、自然と人間、個人とコミュニティを楽しむ」ことを目的にしたこのお祭りは、自然の中で歌ったり、太鼓を叩いたり、ヨガをしたり、踊ったり、瞑想したりというユニークなもの。とても自然体で、会場全体がおおらかな雰囲気です。
湖畔のキャンプ場にテントを張って二日がかりで開かれ、初日の夜はキャンプファイヤーもあったとか。私は二日目だけの日帰り参加でしたが、泊まりがけ参加の人たちは、すっかり打ち解けている様子でした。
「自然との共生」を掲げたお祭りだけに、電源も自然エネルギー。小型のソーラーパネルを持ち込んで、ライブなどの音響はもちろん、宿泊テント周辺の照明もそれぞれが自家発電していました。
お祭りのテーマは、麻。古来、日本人が神事や暮らしに活用してきた植物・麻を見直すことで、先人たちの智恵ある生き方に学ぼうというものです。会場には、麻の実のオイルで走るヘンプカーやヘンプフード、麻素材のファッションなどが並んで、まさに麻づくし。ワークショップも、麻の簡易機織り体験や編み物教室、ヘンプキャンドル作り、ヘンプオイルマッサージなど麻関係のものが多く、麻素材の衣装をまとったファッションショーもありました。
キャンプ場のあちこちでは、思い思いのワークショップが開かれていました。神社の幣の原型とされる「削り花」の手作り体験、下駄の鼻緒作り、アフリカンダンス、気功とインド舞踊のミックス、ヨガ、ヒーリングと瞑想、ライブペイント、麻の産着や甚平作り、女性のための護身術などなど。自宅出産体験のシェアリングもあって、「お祭りも変わってきたなぁ」という実感です。
伝統的なお祭りもそれぞれに深い意味を持つ価値あるものですが、「今」の想いやメッセージを込めた新しいお祭りも素敵です。もちろん参加するだけでも楽しいのですが、こうしたお祭りを自分たちの手で生みだしていこうとしている人たちがいることに、頼もしさを感じました。