まんまのセーターが編み上がる
緒方さんから完成したセーターが届く。
目の前の一頭のアルパカから採取された原毛は、
紡ぎ出されて毛糸玉になり、編まれてセーターとなった。
色はまさにアンデスで見たスリ種のアルパカのまんま。
魔女のように垂れた前髪から覗く目を思い出す。
毛を刈られたばかりのアルパカは痛々しい姿であったが、
既に新たな毛が生え始めているはずである。
完成したセーターの首回りに薄い色が配されているのは、
同じアルパカの、異なる部位の毛を用いてのことだろう。
まるで生きているような存在感。
しかしながら、セーターはなぜか随分と大きく編み上がって、
図体の大きな自分もさすがに持て余してしまう。
おそらくはアンデスの神のいたずらであろう。