GLOCAL HAPPINESS 2016
先日の11月3日木曜日(文化の日)に木更津市の潮浜公園にて、第2回GLOCAL HAPPINESS(グローカルハピネス)2016が開催されました。
当日は天候にも恵まれ、東京湾に面した芝生の広がる気持ち良い潮浜公園に、約130店舗の出店者が集まり、賑やかなお祭りとなりました。
木更津市はちょうど千葉県の真ん中なので各地域から集まりやすく、出店者は安房、上総、下総など房総半島中から、さらには鎌倉からもオーガニックな出店者が勢揃いしました。
竹で組んだステージやバンブーランドなどは、竹資源の利活用を提案するNPOトージバが製作し、ステージの電源は農業と発電を両立させるソーラーシェアリングを広げるグリーンタートルズが太陽光パネルを設置し、会場は手づくりの素敵な空間になりました。
実行委員にオーガニックなライフスタイルを送る女優の杉田かおるさん、料理教室では料理家の中嶋デコさん、ライブは和太鼓バンドGOCOO、シンガーソングライターの里花さん、鎌倉のイマジン盆踊り部&盆バンド等々、多彩な人々が集まり内容は盛りだくさんです。
10年前から東京で開催されていた農をテーマにしたオーガニックイベント「土と平和の祭典」に関わる人たちも多数参加し、東京発のオーガニックカルチャーがローカルに根付いた象徴的なイベントに思えました。僕にとっては、ほとんど同窓会のような感じで、オーガニックカルチャーを引率する友人知人が一堂に会していました。
主催はオーガニックライフ推進協議会で第2回目の開催ですが、すでに街を上げての一大イベントになっています。
実は、このイベントは僕の姉である林利江が実行委員長なのです。
不良息子の僕が家業の酒問屋を継がず「旅する人生」を送っている間、姉が家業を引き継いでくれ、大変な苦労を乗り越え、今では酒問屋を自然食品店「コミュニティマーケット ベアーズ」へと変え、毎月「かずさファーマーズマーケット」をオーガナイズし、そして自治体も交えて今回のGLOCAL HAPPINESSを開催しました。
若いころは顔を合わせればお互い喧嘩ばかりしていたのですが、今では不思議と同じ方向を歩んでいます。人生とは、先のことはわからないものですね。
食べることは、生きること
GLOCAL HAPPINESS(グローカルハピネス)とは、GLOBAL(地球)+LOCAL(地元)のHAPPINESS(幸せ)をテーマとしたマルシェ&音楽フェスです。
フライヤーには、こんなメッセージが書かれています。
"私たちは「食べることは、生きること」だと考えています。
このインベントを通じて「おいしい!」「たのしい!」「うれしい!」でいっぱいの「ロハスでオーガニックなライフスタイル」の提案をいたします。
★おいしい!
身体にいいからと義務感でおいしくないものを食べるのはもう終わりにしましょう。お米や野菜、調味料などをちょっと変えるだけで簡単に食生活を見直すことができるんです。このイベントが「本当のおいしさ」を思い出すきっかけになれたらと考えます。
★たのしい!
楽しくないことは続きません。おいしいものを食べながら素敵な音楽で空間を彩り、おしゃれでかわいい雑貨に囲まれて過ごす日々をイメージしてみてください。そんな「ワクワク感」を参加者みんなでシェアできる楽しいイベントにしたいと考えています。
★うれしい!
食と農、生産者と消費者、都市と里山がつながることで新しい「何か」が生まれます。それは友人であったり発見であったりと様々ですが、きっと嬉しいものであるはずです。みなさまの毎日がますますハッピーなものになりますように、これが私達の願いです。
+エコ
環境問題への取り組みとして、会場内ステージ電源を自然エネルギーでまかなうこととしているほか、出たゴミは来場者みずからが持ち帰ることを推奨しています。みなさまのご協力をお願いいたします。
食と農をつなげること、それによって木更津市が「オーガニックなまちづくりの起点」となることを目指しています。"
木更津市のオーガニック宣言
今年、木更津市はオーガニックをテーマにまちづくりをすることを宣言しました。
木更津市のホームページにはこう書かれています。
"平成28年3月に策定した「木更津市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中において、本市は新たな視点として「オーガニックなまちづくり」を掲げました。「オーガニック」とは、健康で持続可能な暮らしを守るため、環境や社会に配慮し、自ら何ができるかを考え、実際に行動する生き方です。その「オーガニック」をまちづくりのテーマとし、人と自然が調和した持続可能な都市を構築し、次世代につなぐ取組を「オーガニックなまちづくり」と定義します。"
オーガニックとは、食や農にとどまることなく、まち全体に広がり、分野を超えて有機的につながり、市民が自分で考え、行動し、みんなでまちを創っていくことだと定義しています。
これは、日本で初めての試みだそうです。
民間、NPO、企業、自治体の連携
お昼のトークイベントでは僕が司会進行で、木更津の渡辺芳邦市長、神崎町の寺田本家24代目当主寺田優さん、無印良品を展開する(株)良品計画の事業開発部部長の生明弘好さんに登壇いただき、「オーガニックなまちづくり」についてトークしました。
神崎町では蔵元寺田本家が始めた「お蔵フェスタ」に自治体が全面的にバックアップし、今では人口6000人の町に5万人が集まる一大フェスになり、発酵の町として盛り上がっています。
鴨川市の里山では無印良品とNPO法人うずがコラボし、「鴨川里山トラスト」を行い、里山から新しい地域づくりを行っています。
木更津市では市民が中心の「オーガニックライフ推進協議会」がエンジンとなり、自治体がまちを上げて「オーガニックなまちづくり」として走り始めています。
一昔前は、オーガニックなんて言ったら変人扱いでした。
しかし時代は変わり、今ではオーガニックをテーマに自治体や企業も市民と一緒になって、それぞれの得分野を活かして、まちづくりを行う時代になったのです。
自立・循環・共生・調和
さらに木更津市の「オーガニックなまちづくり」のキックオフイベントとして、11月16日(水)~17日(木)にかずさアカデミアパークにて、「木更津市オーガニックシティフェスティバル」が開催されます。「オーガニック」をテーマに様々なトークやイベント、マーケット等々、内容は盛りだくさんです。
17日のフォーラムでは、「ALGOAフォーラムin KISARAZU ~農によるオーガニックフォーラム~」が開催されます。
ALGOA(アルゴア)とはAsian Local Governments For Organic Agricultureの略で、アジアにおける有機農業及び関連産業発展の鍵を握る地方自治体間の相互協力体制を築くためのネットワーク組織です。今まで有機農業に関連する民間団体は多数ありましたが、アジア規模に広がる自治体のネットワークはありませんでした。今回、このALGOAに日本として初めて木更津市が参加し、これから日本の自治体にも広げていきたいそうです。
17日はインド、ブータン、フィリピン、モンゴル、インドネシア、スリランカ、中国、バングラディシュ等々、アジア諸国からオーガニックな先進事例が発表され、アジアの文化であり基盤産業でもある農業をベースにオーガニックなまちのあり方を探るシンポジウムが開催されます。
「オーガニックなまちづくり」が目指すところとは、地域社会が自立・循環・共生・調和することだと思います。
そして、それは誰かがやってくれる「おまかせ民主主義」ではなく、市民一人ひとりが「主役」となって社会に参加し、まちづくりを主体的に行うことを意味し、結果的に自分の人生をも「主役」として生きることにつながるのだと思います。
町全体をオーガニック化することはそう簡単なことではないでしょう。
しかしそれを宣言し、そのビジョンに向かって、一歩一歩近づいて行くプロセスこそが大切です。
東京湾を挟んで対岸には首都圏3600万人が暮らす世界最大のメガシティが見える房総半島で、フツフツと始まっているこのローカルムーブメントの芽を大切に育てていきたいと思っています。
Photo by Yoshiki Hayashi