チャン、チャン、チャレンジ ミニマルライフ!
衣服・デザイン関連の仕事について、はやくも45年。一念発起して、ミニマルライフにチャレンジすることを決める。その様子を、夏目漱石の「我輩は猫である」をヒントに、猫の目を通して描く。猫は、偶然に出会い購入した、絵本作家・作家の南椌椌(みなみくうくう)さんの作品「青い夜のエマ」。

いよいよ、決心!

2018年07月18日

もわ萌亜さんのチャレンジを見守っている"絵の中の猫"、エマです。必要なものをピックアップするという方法からはじめたミニマルライフは、もわ萌亜さんにとって、なかなか快適なようでした。日本には一器多用という文化もあります。ものが少ないと必要になるのは、創意工夫。狭い台所を要領よく使うために、頭を働かせるようになったと良い面を実感していました。

例えば、用途別に分けていたグラス類。ビールもワインも同じというのも、少し寂しい感じがしますが、基本的にグラスが一つあれば、足りるといえば足りるのです。少々不便なことはあっても、あまり気にならず、気楽に暮らすことができました。ただ、この暮らし、砂上の楼閣の上に成り立っていました。新居に持っていったものは、家財道具のたった2%ぐらい。残りの98%がそのまま。倉庫状態になっていたからです。必要なものがあれば、すぐに取りに行ける。ビールグラスもワイングラスもあるという安心感があるから、コップ一つで楽しんでいたのです。その上、食器類は、半ダースや5脚単位で揃えることが多かったため、かなりの量になっていました。本当の意味でのミニマルライフではなかった、、、残念。そこで、もわ萌亜さん、いよいよ、「本格的な整理に取り組む!」と決心します。

一番右にある、ワインのテイスティング用のグラスだけを残して脚の長いワイングラス類は、倒すリスクが高いので思い切って処分。真ん中の列の、中二つを普段使いに決めました。不要にしたのは、最後列の右のグラスのみ。普段使い以外は、保管となりました。でも、これってミニマルライフ?

多様なミニマルライフがあっていい

もわ萌亜さんは、衣類とか食器とか、項目に分けて、少しずつ計画的に整理していこうと思っていましたが、仕事をしながらでは遅々として進みません。今まで、何回か整理してきたので、ものを要、不要に分ける作業を始めてもすぐお手上げ。つまり、不要と思うものがほとんどなかったのです。
でも、この大きな壁を乗り越えないと、家財道具は98%も残ったままです。2%で暮らせているなら、98%全部を処分できる。ところが、理屈ではそうなんですが、気持ちや感情がついていきません。せめて、98%の半分にするぐらいの気持ちで、敢行することにしました。

はっきりと、要と不要に分けられるものは、問題ないのですが、その中間、どちらにも分けられないものが、非常に悩ましい。それは今までの経験からわかっていたことでした。実は、もわ萌亜さんの、ペンネームの「もわ」は、この悩ましい"もわもわ"した精神状態を表しているんですって。以前、仕事の資料を思い切って処分したところ、すぐにその資料が必要になったという経験を2回ぐらいしているということです。2度あることは3度ある。それがトラウマとなって、なかなか捨てられないのだそうです。

もわ萌亜さんは、考えました。
ものと人との関係も、人それぞれ。個性があっていい。多様でいい。"もわもわ"しない人もいますが、もわ萌亜さんは、かなり "もわもわ" する人。それでいいのだと、自分を肯定します。それ大事なことかもしれませんね。それぞれのやり方をみつければいいんです。ゆるめに、ゆるめにいきましょう。ちなみに、萌亜は、数十年前、ファッション雑誌でスタイリストを始めた時のハンドルネームだそうです。(その後、編集者のアドバイスで本名にもどしていますが。)

まずは、「要・不要・悩み中」の、三つに分けていくことにしました。不要が少なくても、悩み中が増えても。絶対に自分を責めないことにしました。より良い暮らしのためなのですから。悩み中のものは、とっておいて、冷却期間を置き、改めて検討すればいいぐらいの軽い気持ちで仕分けました。リラックス、リラックス。
作業をしていくと、自分の中に選別する基準のようなものが生まれてきて、作業が急に早くなる時がきます。そうなったらしめたもの。一気にいきます。

キッチンは、一年中クリスマス

使っていなくても、あるだけで楽しい気持ちにさせてくれるものもあります。それに、一度自分のものにしたものは、ものであっても、やはり、自分の一部のように感じているのかもしれません。いつもそばにあるものは、そこに在るだけで、精神的に作用しているようですよ。もわ萌亜さん!

心を豊かにしてくれるものは、大切です。実は、もわ萌亜さんのキッチンには、クリスマスのリースが二つあります。一つは、親友のお母様が作ってくれた赤と緑のパッチワークのもの。もう一つは、お父さんが、亡くなる2~3年前にデイサービスでパスタを銀色に塗って作ったリース。両方とも、もわ萌亜さんにとっては大切なもの。結局、新居のミニキッチンも、一年中クリスマスとなりました。

  • プロフィール もわ萌亜(もわもあ)
    ファッション、編集関係の仕事をしています。

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