各国・各地で「日南海岸 ─美しい神話の国から─」

みんなの力をクラウドファンディングで集め、地元の飫肥杉を世界へ

2015年04月15日

人口5万5000人の日南市から世界へ挑戦を続ける、若い世代と生産者を中心とした元気一杯のチームがあります。日本の森林の衰退が、少しずつ、しかし確実に進んでいくなかで、官民一体となり「林業の衰退をくい止め、子どもたちに豊かな自然を残すために地方からできることをしたい」と立ち上がった『飫肥杉デザイン会』。
そして、その飫肥杉を商品化した「obisugi-design」を世界へ届け、国産杉の価値を高める活動をしている「飫肥杉世界展開チーム」。

飫肥杉世界展開チームは、2014年2月、クラウドファンディングで325万円を集め、地域内外の人々を巻き込み、「子ども達に豊かな自然を残す! 林業再生への挑戦、国産杉の工芸品を世界へ!」をキャッチフレーズに、ニューヨークで開催されるギフトショーに、昨年の夏に出展。日南市の飫肥杉を使った商品の数々は、生粋のニューヨーカーからも愛され、その様子は国産杉に関わる全国の人々、そして地元宮崎県からも大絶賛されました。

少子化や地方の衰退が日本の危機として叫ばれる中で、まさに夢の様な地域再生の物語です。楽しそうな活動がSNSやブログを通して伝わってくる中、どうしても直接話が聞きたくて、今回はこのプロジェクトの仕掛け人の1人であり広報部長の長友まさ美さんにお話をお伺いしてきました。

全く杉のことなんて知らなかった

宮崎県出身の広報部長・長友まさ美さんは、この活動に関わるまで、「飫肥杉」という名前は聞いたことがあっても、実際には一体どんな杉なのか? 全く知らなかったそう。

飫肥杉世界展開プロジェクトチームの代表 齋藤潤一さん(次回の記事でインタビュー!)と出会い、「長友さん、広報やってくださいよー。美人広報!」(美人広報という響きにひかれ)「やりたーい!」と軽く言った瞬間から、巻き込まれていたと笑う長友さん。

少しずつ飫肥杉世界展開の活動を通して、職人さんから話を聞いたり、山の現状を知っていきます。そして、友人の山師の方にお願いして、「杉の苗木を植え、伐採する」体験をすることに。

友人のおじいちゃんの世代から育てられている大きな杉をご自身で切り倒した時、何世代も前から大事に育てられた杉の生命を終え、まるで、木が大声で泣いているように感じられたそうです。友人のおじいちゃんの世代から長い年月をかけて育てられた杉。「私たちは、そんな前の世代の人たちや自然から、たくさんのギフトを受け取って生きている」と感じたそう。その経験から、改めて地域の産業である杉を大切に使い、守り、次世代へ美しい森を残していきたいと思ったのだと言います。

広報部長に聞く、杉に関わる人の魅力とは

「杉に関わる人たちはみんなとっても長いスパンで物事を考えてるんです。100年構想なんて当たり前。だからこそ、物事の本質を見て、ぶれない人たちがとても多いんです。だから、みんな新しい発想やわくわくすること、本質的な長期価値を生み出すものに賛同します。地域再生という先の見えない難しい環境の中でも、こと林業に関しては必然的に長期の視点をもたなければいけない。これこそが、杉に関わる最大の魅力なのかもしれません。」

「私達の普段の生活の中で沢山使われている杉材。目の前の製品が長い歴史の中で、多くの人の手によってできていることを知った時、私達の活動そのものが100年先の誰かの生活に直結していることを改めて自覚しました。割り箸ひとつとっても、大切に使い感謝する。そして100年後の未来のために、今できることを精一杯頑張る。だからこそ、目の前の一つひとつの行動がまさに未来を作っているという感覚です。私たちは、まだ見ぬ未来のために挑戦しているんです」。

ニューヨークに行ったり、クラウドファンディングで325万円集めたり、本当にスゴイ飫肥杉チーム。地域での杉の活用や賑わい以外にも、全国の杉が大好きな関係者が集まる『全国スギダラケクラブ』での仲間や、同じように地域の林業を再生させるために奮闘し、日本中から注目されている岡山県西粟倉村、熊本県小国町の方々との交流など、長友さんは目をキラキラさせながらどこまでも広がる活動について、わくわくするお話をしてくれました。

ニューヨークでも絶賛される高い日本の品質。少しづつ地域は活気づいてきた!

長年の飫肥杉デザイン会、そして、飫肥杉世界展開チームの活動をとおして、地元でも飫肥杉の可能性に注目が集まり始めました。
現在、日南では、小学校1年生になると全員に飫肥杉の積み木が配られ、それが授業の中でも使われています。また、婚姻届をだすと飫肥杉の写真立てがプレゼントされたり、盛り上がりは広がるばかりです。新しい取り組みが全国的にも注目されたことで、木材の市場価格も上がり、今まで衰退産業だった林業に大きな変化が生まれています。

未来を見据えた志の高さや人をわくわくさせる活動が、クラウドファンディングを通して325万円ものの寄付を集め、遠く異国の地ニューヨークでも多くの人に受け入れられたのだと思います。長友さんは、大好きな仲間と共に、わくわくする未来を描くことが何よりも嬉しそうでした。

次回は、このプロジェクトの仕掛け人で、飫肥杉世界展開プロジェクトチーム代表の齋藤潤一さんに話を伺います。
お楽しみに!

  • 長友 まさ美 世界展開プロジェクト広報部長 サンワード・ラボ株式会社 代表取締役
    宮崎てげてげ通信 会長
    強いチーム作りをとおして、社会問題を解決する。「生きとし生けるものたちが、幸せに生きる世界づくり」が使命。人好き、旅好き、美味しいものが大好き。
  • プロフィール 久志尚太郎
    音楽やアート、旅や食が好きです。
    高校時代のアメリカ留学を経て、20代前半に世界25カ国放浪。
    25歳から宮崎県串間市で人口1000人高齢化50%の村での田舎暮らしを経験し、現在は東京を拠点に都会と田舎、世界と日本を行ったり来たりしています。

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